「食道がんの末期症状」はご存知ですか?治療法も解説!医師が監修!

「食道がんの末期症状」はご存知ですか?治療法も解説!医師が監修!

食道がんは初期の場合、症状がほとんどないといわれていますが、がんが進行すると嚥下障害・胸痛・咳などの症状が現れます。

末期ではほかの臓器に転移しているケースも少なくないため、それぞれの臓器特有の症状が現れる可能性があるでしょう。

今回の記事では、食道がんの末期症状・治療法・緩和ケアを詳しく解説します。ご自身やご家族の方で食道がんの末期に該当するもしくはその疑いがある場合は、ぜひ参考にしてください。

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監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

食道がんとは?

食道がんとは、食道の内側を覆っている粘膜に発生するがんです。
食道がんには扁平上皮がん・腺がんの2つのタイプに分けられます。ここからは、食道がんの種類・原因・患者数・好発年齢について紹介します。

扁平上皮がん

扁平上皮がんは、食道の粘膜上皮にある扁平上皮細胞ががん化したものです。
食道の壁は内側から粘膜・粘膜下層・固有筋層・外膜の4つで構成されています。扁平上皮がんは、粘膜のなかでも内側に位置する粘膜上皮にできるがんです。
日本では食道がんの約90%が扁平上皮がんといわれています。

腺がん

腺がんは粘膜下層にある食道腺などの腺細胞ががん化したものです。欧米で発症しやすく日本では少ない特徴があります。しかし、近年では食の欧米化や肥満の増加に伴い、腺がんの患者数が増加傾向にあります。

原因

食道がんの主な原因は飲酒と喫煙です。特に、扁平上皮がんは飲酒・喫煙との関連が強く、飲酒習慣・喫煙習慣がどちらもある方はより発症しやすいといわれています。
また、栄養状態が悪い・野菜不足なども食道がんを引き起こす原因と考えられています。なお、腺がんは逆流性食道炎により胃酸で食道が傷つくことで発症することもあるようです。

患者数と好発年齢

日本で食道がんと診断された患者数は、2019年で26,382人といわれています。このうち男性は21,719人、女性は4,663人です。食道がんは男性に多く、60〜70歳に好発しやすいといわれています。

食道がんの末期症状

食道がんの末期では、どのような症状が現れるのでしょうか。
末期ではがんが食道の外側に広がっているだけではなく、ほかの臓器に転移している可能性があります。ここからは食道がんの末期症状について解説します。

食物・水分の摂取困難

食道がんの末期では腫瘍が大きくなっているため、食道が狭くなっており食物や水分がとおりにくい状態となります。このように十分な栄養や水分が摂取できなくなるため、点滴や胃ろうなどによる栄養補給が必要になります。

腫瘍が大きくなると気管や気管支にも影響を及ぼします。食道の腫瘍が大きくなったり、気管や気管支にがんが広がったりすることで、咳が出る場合もあります。

がんの転移による症状

食道がんの末期では、ほかの臓器に転移しているケースも少なくありません。
転移しやすい臓器は肺・肝臓・骨などです。肺に転移した場合は血痰(血が混ざった痰)や息切れが生じ、肝臓に転移した場合は背中の痛みやむくみなどが生じます。
骨に転移した場合は、痛みや骨折などが起こります。いずれも日常生活に支障を来す可能性があるでしょう。

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