洋食店の定番メニュー「オムライス」。実は銀座の名店が発祥なんです

明治初期、西欧風に改革がなされ、街に最先端の〝はじめて〞のものが集まった銀座。その感動は今も変わらず受け継がれている。銀座をルーツに持つ、おいしいものや場所を、甲斐みのりさんと訪ねました。〈煉瓦亭〉のオムライスについての物語です。

甲斐みのり 文筆家

かい・みのり/旅、散歩、手土産、地元パン、クラシックホテルや建築、暮らしなどを主なテーマに、書籍・雑誌・ウェブに執筆。著書に『歩いて、食べる東京のおいしい名建築さんぽ』(エクスナレッジ)、『乙女の東京案内』(左右社)など。

〈煉瓦亭〉のオムライス誕生秘話

かつて銀座が煉瓦街といわれた時代の名残を店の名にとどめる洋食店〈煉瓦亭〉。創業は1895(明治28)年。横浜でフランス料理を学んだ創業者の木田元次郎氏は、好奇心旺盛なアイデアマンだったそう。料理人以外にも数多くの職業を経験して知見を深め、さまざまな西洋料理を日本人向けにアレンジしたことで、日本の洋食の草分けと称されるまでに。そのひとつがオムライス。もともとはオムレツ練習用の賄い食として、卵とご飯を混ぜて焼いたのが原型で、創業から5年後には「ライスオムレツ(元祖オムライス)」としてメニューに並ぶように。それから間もなくして、その後日本中に広まったオーソドックスなスタイルの「明治誕生オムライス」も完成。近所の西洋料理店仲間とともに、みなで共通して作れる料理をと練り上げ、茶巾寿司から着想を得た薄焼き卵で、挽肉を入れて炒めたご飯を包んだのが始まり。しっかり張りのある外側と、トロンと半熟部分がご飯に絡む内側の、卵のバランスが絶妙。挽肉と玉ねぎの砂糖醤油の味付けに、懐かしさと食欲を掻き立てられる。

1964年の東京オリンピックの年にできた建物も、メニュー同様深い味わい。訪れるたび、古い映画のワンシーンに潜り込んだような感慨に満たされる。

煉瓦亭

住所:東京都中央区銀座3-5-16
TEL:03-3561-3882
営業時間:11:15~15:00(14:00LO)、17:30~21:00(20:00LO)
定休日:日休
席数:110席
Instagram:@ginzarengatei_official

明治誕生オムライス2,100円。ご飯と卵を混ぜて焼いた元祖オムライスやポークカツレツ、エビフライなども人気の発祥メニュー。

銀座発祥グルメ

・〈資生堂パーラー〉アイスクリームソーダ編

・〈銀座スイス〉カツカレー編

・〈銀座木村家〉あんぱん編

・〈銀座 よし田〉コロッケそば編

・〈ビヤホールライオン 銀座七丁目店〉ビヤホール編

photo_Norio Kidera text_Minori Kai edit_Kana Umehara

No. 1231


No.1231 『銀座と下町』 2024年03月28日 発売号

春のウキウキ気分を盛り上げてくれる、ハレの街・銀座。新店のスイーツ巡りも、この街発祥の老舗グルメ探訪も。最旬アートスポット体験や、本格バーデビューだって。銀座に足繁く通い、街を愛する各界著名人や、「銀座通」がとっておきの楽しみかたやおすすめスポットなどなど、銀座の活用術を指南します。 いつもよりちょっとだけ特別、でも背伸びしすぎない、私たちがしたいことが全部この街に詰まっています。だからこそ、今こそ、銀座を目指して。 さらに周辺には、懐かしくも新しい、進化する下町エリアが。銀座から電車に少し揺られれば、新しい出合い …

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