トラブルになりやすい商法の一つに「マルチ商法」がある。これは、商品を販売する会員になり、さらにほかの人を入会させればお金がもらえるなどとして新規会員を誘い、その新規会員に商品を販売する仕組みのこと。このシステムそのものが違法になるわけではないが、不当な勧誘を受けるなどした人が困ったり、損をしたりするケースもあるという。
またそのほかにも最近では、さまざまな手口による悪質商法が登場しているという。
●巧妙化する悪質商法、その手法は?
消費者庁が現在悪質商法の典型的商法として注意喚起しているのが以下のような手法だ。
・SF商法
「良い話がある」などと称して近所の家や公民館などに人を集め、閉鎖的空間で商品説明を開始。雰囲気を盛り上げて興奮状態にし、消費者同士の競争意識を煽って高額な商品を買わせる。別名「催眠商法」と呼ばれることも。
・サイドビジネス商法
「在宅ビジネスで高収入が得られる」などと言って勧誘し、高額な教材などを購入させる。その後仕事はなく、教材などの支払いのみが残る。
・無料商法
「無料」とうたって勧誘し、商品などを契約させる方法。インターネットを介して行われることが多く「インターネット利用料」などの名目で料金が請求されるケースが多い。
・ネガティブ・オプション
契約を結んでいないのに商品を勝手に送られ、受け取ったところで支払い義務があると勘違いさせる。別名「送り付け商法」とも呼ばれ、商品と一緒に請求書が入っていたり、福祉目的による寄付と勘違いさせたりするケースも多い。
・開運商法
大震災発生に関連付け、「運勢が開ける」「幸福になる」などといって祈祷サービスや開運グッズの商品を契約させる。
(出典:消費者庁「消費者問題及び消費者政策に関する報告(2009~2011年度)」)
●新手な商法の場合にはどうすればいい?
新手の商法で厄介なのは、それらを規制する法律がまだ十分には整備されていない場合もあり得る。その場合はどう対処したらいいだろう?
「消費者契約法や特定商取引法といった法律が、消費者・購入者等の利益を保護するためにさまざまな規制を設けているので、まずはこういった法律を駆使して対処することになります。また、そういった特別な規制がない場合でも、最後は『民法』による契約の取消しなどを考えることになります。もしかしたら詐欺や脅迫、錯誤といった事実を主張して消費者を救う手立てがあるかもしれません」
こう話すのは日本司法支援センター(通称:法テラス)の村山勇輔弁護士だ。
「ただ、詐欺や脅迫、錯誤といった事実を主張するにしても、それらを証明するための証拠は必要になります。そうなると、一個人の方には難しいですよね。ですから、消費者・購入者などの利益を保護するための特別な法律が制定されていくわけです」(村山さん)
そう考えると、新手の商法により困った際はなおさら、まずは専門家への相談が不可欠のようだ。どこに相談すればよいかわからない場合には、「法テラス」に問い合わせてみよう。解決の糸口が見つかるかもしれない。新手の悪質商法でも被害にあったら、あきらめずにまずは相談してみてほしい。
(高山惠+ノオト)