ハイブリッド手術とその効果
編集部
先ほどのお話にあったハイブリッド手術についても教えてください。
正富先生
ハイブリッド手術はトミー・ジョン手術に加えて人工靭帯（インターナルブレース）を一緒に使用して、まだ骨に生着していない移植腱を保護する手術方法です。移植腱が強固な靱帯として機能するまでの間、人工靭帯が物理的に支える効果が期待されています。
編集部
ハイブリッド手術の利点は何ですか？
正富先生
人工靱帯は移植腱よりも硬いものなので、手術後早期は靭帯に負担のかかる動作をした時に、人工靱帯がピンと張ってその下にある移植腱への負担を軽減してくれるという利点があります。そのため、移植腱が強固な靱帯の役割を果たせるようになる6ヶ月までの間に、選手がリハビリや投球練習を少し早めに再開できる可能性があります。
編集部
ハイブリッド手術は、より早い選手復帰が可能になるのですか？
正富先生
ハイブリッド手術をおこなったからと言って、早く元通りのプレーができるということではないことも知っておく必要があります。加えて、医学的には、移植腱が靭帯として牽引力に耐える強度を獲得するためには適度なストレスにさらされる必要があることも、膝の靭帯再建において明らかになっています。人工靭帯があることは、最終的な靭帯強度に達することを阻害する可能性も否定できず、ある意味「両刃の刃」と今のところは考えるべきです。
編集部まとめ
近年、トミー・ジョン手術やハイブリッド手術によって、選手として復帰する可能性が向上し、海外では手術を受けたい選手が増えているとのことでした。一方で手術だけでなく、復帰にはリハビリや全身のコンディショニング、フォームの見直しが必要不可欠で、それが復帰までの期間やその後のパフォーマンスに影響すると教えて頂きました。本稿が、手術に関する情報のみならず、そのほかのトレーニングの重要性について知る一助となりましたら幸いです。
配信： Medical DOC
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