幸せな子ども時代をもらった自分
peco 子どものころ、母のことを心配したこともなかったし、「お母さん、だいじょうぶかな、ハッピーかな」なんて考えたこともなかった。ただただ自分のことだけを考えて18歳まで生きてきて、それがどれだけ幸せなことだったんだろうと思いました。ありがたいことです。
私も息子に対して、そんなふうにできるかぎり心配をなくして、大きくなってほしいなと思います。
ーーーエッセイでは<自分の幸せ、自分のやりたいこと、自分の未来だけを考えて、自由に生きてこられた。それって、なんて幸せなことだったんだろう>CHAPTER4 My Familyーー大切な家族P179)と書かれている、とても印象的なエピソードです。
peco 母はずっととてもハッピーだったんですよね。父が単身赴任で、基本的に母のワンオペでしたが、いつもハッピーで悩んでいるところなんて見たことがなくて。悩んでいる姿を見せることが悪い、というわけではないんですが、母がハッピーであることが私にとっての安心材料だったんです。
ーーそんなお母さまがいたからこそ、家はpecoさんにとってゆるぎない場所なのだと感じました。
peco 私は自分の親に対してなんの心配もなく成長して、家にいることはすごく居心地がよくて。息子にとってもそうなってほしいと思うのは、小さいながらにたぶんたくさん心配をかけたし、すごく複雑な想いをさせてしまったからこそ、ここから先は心配をできるだけなくしていきたいと思っています。
ryuchellがいなくても「子どもには絶対に心配をかけない」と決めている
ーー息子さんに、周囲のさまざまな心配ごとが伝播したように感じたことはありましたか。
peco 息子はとてもポジティブなんです。ryuchellの変化もすごく前向きにナチュラルにとらえてくれたし、ryuchellがいなくなってしまったときも……もちろんいっぱい泣いたし、いまでもたまに、ふとryuchellのことを想って泣いてしまうときもありますが、それ以外はほんとうにふつうに元気。だから、「このままでいさせてあげたい」という思いが強くあります。
通っているインターナショナルスクールでも、ryuchellがいなくなってしまったあとに、一応心配だから「様子、どうですか?」と面談で先生に聞いたんです。そうしたら、「彼はポジティブだね!」と言ってくれて、そこで私も息子がポジティブなことに気づきました。
peco 家族の形って、さまざまだと思います。母親に夫がいようがいまいが、彼氏がいようがいまいが、母親がなにで満たされていようとなんでもよくて。パートナー、仕事、お友達との付き合い……なんでもいいけど、私の母は当たり前のように前向きにキラキラしていたのが、すごいことなんだなあと。
ーーそういったお母さまに育てられ、pecoさんは安心してのびのびとすることができたんですね。
peco はい、そうだったんだなって最近気づきました。だから私も今後、ふと「ryuchellがいない。ひとりだな……」と寂しい気持ちになったとしても、息子に絶対に心配をかけたくないんです。
心配をかけてしまうときって、きっと私がどこか寂しそうだからだと思うんです。もちろん寂しがることがダメなんじゃなくて。「仕事もいっぱいさせてもらって、あなたが生きていてくれて、これだけでハッピー!」という姿を常々見せることで、私の心配をせずに大きくなってくれるのかな、と思います。それがいまのいちばんの目的地です。
配信: マイナビ子育て