「インプラントはできない」と断られた… 解決策はある? 諦める前に知っておきたいこと

「インプラントはできない」と断られた… 解決策はある? 諦める前に知っておきたいこと

インプラントを希望したのに、「治療はできない」と断られるケースは意外と少なくありません。それでもインプラントが諦めきれない、あるいは歯科医の説明に納得できない場合にほかに手段はないのでしょうか? そこでインプラント治療を断られる理由やその対処法、セカンドオピニオンの方法について「くろさわ歯科医院」の黒澤先生に聞きしました。

監修歯科医師:
黒澤 治伸(くろさわ歯科医院)

昭和大学歯学部卒業。医療法人での勤務を経て、くろさわ歯科医院を開業。丁寧なカウンセリングで患者さんと向き合い、一人ひとりに合わせた最善の治療を提案している。日本口腔インプラント学会、国際口腔インプラント学会(ICOI)の各会員。歯科医師臨床研修指導歯科医。

「インプラントはできない」と断られることがある?具体的な事例やその理由について

編集部

実際に、歯医者さんで「インプラントはできない」と断られることもあるのでしょうか?

黒澤先生

割合的にどのぐらいあるかは不明ですが、インプラントができないと断られるケースは確かにあります。一方で、断られるケースの中で実際にインプラントが絶対にできない、いわゆる「絶対禁忌」と呼ばれる症例は少ないです。多くの方については、治療のアプローチを変えることでインプラントにできる可能性は高くなります。

編集部

インプラントが絶対にできない「絶対禁忌」には、どのようなケースがあるのでしょうか?

黒澤先生

1つは、糖尿病やがん、重度骨粗しょう症などの全身疾患があって、検査の数値上どうしてもインプラントが難しい、あるいは数値が改善してからではないと治療ができないケースです。そのほかに、現在妊娠中の方や18歳未満の方も、原則としてインプラント治療はできません。

編集部

では、アプローチを変えればインプラント治療が可能というのは、どのようなケースがありますか?

黒澤先生

最も多いのは「骨が少ないから」という理由でインプラントを断られるケースです。インプラント治療において「骨が少ない・足りない」というのは確かに難易度も上がりますが、絶対にインプラントができないわけではありません。しかし、必要以上にリスクを強調されたり、極端なトラブル事例などを挙げられたりして、インプラントをあきらめる方もいるようです。

編集部

そのほかに、インプラントが断られるケースにどのようなものがありますか?

黒澤先生

歯科医がインプラント治療に消極的、あるいは経験が少ないという理由で、治療オプションにインプラントが提示されないケースがあります。患者さん自身がインプラントを希望されても「インプラント」という治療の選択肢がないため、そこであきらめるしかないという方も少なくないようです。

諦めるのはまだ早い? 「インプラントができない」と言われても治療が可能になる方法・解決策とは?

編集部

インプラントが断られる理由で多い「骨が少ない」というケースでも、インプラントを入れることはできるのでしょうか?

黒澤先生

骨が少ない・足りないという理由でインプラントを断られたケースについては「骨造成(こつぞうせい)」という方法でインプラント治療可能となることがあります。

編集部

「骨造成」とはどのような治療なのでしょうか?

黒澤先生

簡単に言うと、骨が少ない・足りない部分に別の部位から取り出した骨や人工骨、骨補填剤などを補って新たな骨を作っていく治療です。代表的なものに「サイナスリフト」「GBR法」「スプリットクレスト」などの術式があります。

編集部

つまり、インプラントを入れる前に骨の幅や厚みを増やす処置をすれば、通常と同じようにインプラントが入れられるようになるわけですね。

黒澤先生

はい。ただし、従来のインプラント治療に「骨を増やす」というオプションが加わるため、一般的な治療と比べると時間やコストがかかります。また、大がかりな骨造成が必要なケースでは、処置後しばらく痛みや腫れが続くこともあります。したがって、そのあたりのリスクやデメリットについてもしっかり説明を受けてから、治療をするか・しないかをよく検討していく必要があります。

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