認知症に人との会話が大切な理由とは
編集部
認知症の方にとって、会話が大切な理由はなんですか?
西山さん
会話は、認知症の予防や症状の進行を遅らせると言われています。認知症の進行を遅らせるには、脳へ刺激を与えることが大切です。会話の「言葉を聞いて理解する」「自分から話そうとする」という過程は、脳をたくさん使います。また、会話はストレス解消や信頼関係を確認できる行為です。会話には、認知症高齢者が抱く「コミュニケーションがとりづらい」という孤独感をやわらげる効果が期待できます。
編集部
認知症の方でも楽しく会話できる内容はありますか?
西山さん
過去の出来事や思い出話は、認知症の方にとって話しやすい話題です。認知症の方は最近の記憶に障害が出ている一方で、昔の出来事はよく覚えています。認知症が進行しても、過去に飼っていた愛犬の名前を覚えており、犬と触れ合うことで記憶力に改善が見られた事例もあります。
編集部
ストレスなく会話を続けるために、どのような配慮が必要ですか?
西山さん
体を動かしながら会話すると脳が活性化し、高齢者にも自分にもよい影響があります。近所を散歩する、料理好きな人と一緒に調理するなど、無理のない範囲で体を動かし、楽しい雰囲気で会話しましょう。本人の気分転換や介護者の休息のため、社会資源の活用も視野に入れてください。
編集部
会話の機会を増やすために、どのような社会資源が利用できますか?
西山さん
介護認定を前提とするなら、デイサービスを活用しましょう。デイサービスは、日中に介護施設へ通い、健康チェックや食事、入浴、レクリエーションなどのサービスを受けられます。介護保険外なら、認知症カフェがおすすめです。認知症カフェは、認知症の方が外出する機会や、介護者間の繋がりを作る取り組みです。自治体や民間団体の主催で月に数回開催されるケースが多いため、住まいの市区町村などに確認しましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
西山さん
認知症になると、会話のすべてを理解できず、おかしな回答をする場合があります。会話は相手のペースに合わせ、短い文章にしましょう。認知症になっても感情があることを忘れないでください。ご家族や介護者自身もストレスをためず、あたたかい気持ちで高齢者と接すると、会話がうまくいきます。
編集部まとめ
認知症の初期段階は、周囲との会話がかみ合わないことに高齢者自身が混乱している可能性があります。楽しい会話ができると「自分は受け入れられている」という安心感が生まれ、認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。家族や介護者自身も無理をせず、必要に応じて相談機関を頼りましょう。まずお茶とお菓子を準備し、穏やかな雰囲気で会話を始めてみませんか。
配信: Medical DOC
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