3、もし個人再生の返済が厳しくなった場合の流れは?
個人再生では、以上のステップを踏むことで借金を大幅に減額することができます。
とはいえ、再生後も3年間~5年間にわたって返済を継続する必要があります。
場合によっては、再生計画通りに返済していくことが厳しくなることもあるでしょう。
再生計画通りに返済ができなくなったら自己破産するしかないか、というとそういうわけではありません。
このような事態になった場合には、再生計画案を変更して返済期間を最長2年まで延長することができます。
認可された再生計画における返済期間が3年のケースでは5年まで、5年のケースでは7年まで延長が可能です。
このように返済期限を延長してもなお返済できなかった場合には、原則として自己破産するしかない可能性があります。
ただし、以下の「ハードシップ免責」の条件を満たせば、残った借金の4分の1の支払いを免れることができます。
再生計画案に記載された返済金額の4分の3について支払済みであること
返済が困難になった理由が本人に原因がないこと
再生計画を延長しても支払いが困難であること
ただし、ハードシップ免責が認められるのは非常に困難です。
4、個人再生の流れ~準備しておくべき必要書類~
個人再生手続きを行う際には、多くの書類を準備しなくてはいけません。
ここでは、具体的にそろえるべき書類の種類をご説明します。
以下でご紹介する書類についてはいずれも、日弁連のホームページから書式をダウンロードできますので、ご活用ください。
(1)再生手続開始申立書
個人再生を申し立てるには、「再生手続開始申立書」を裁判所に提出します。
この申立書には書き込み式の様式があり、内容はそれほど複雑なものではありません。
ただし、申立ての際に以下の書類を添付することが必要です。
委任状:弁護士に依頼する場合には委任状が必要です。
戸籍謄本:本籍地の市町村の役所で取得します。
世帯全員についての住民票の写し:3ヶ月以内に発行されたものが必要です。
(2)債権者一覧表
債権者一覧表には、借入先の債権者の氏名(社名)、住所、借金の残高などを記載します。
ここに記載しなかった債権者に対する借金は減額されないこととなります。
なお、意図的に一部の債権者を除外した債権者一覧表を提出すると、個人再生が認められなくなります。
必ず、すべての債権者をもれなく記載するようにしてください。
(3)収入一覧及び主要財産一覧表
収入一覧及び主要財産一覧表には、申立人の収入と換金価値のある所有資産を記載するようになっています。
ここに記載した内容によって個人再生による返済額が左右されるので、正確に記載する必要があります。
意図的に収入や財産を隠して記載すると個人再生が認められなくなるので、必ずもれなく記載するようにしましょう。
(4)財産目録(一覧・細目)
財産目録には、申立人の所有財産について、さらに詳細を記載していきます。
書式は「財産目録(一覧)」と「財産目録(細目)」に別れているので、それぞれ作成しましょう。
(5)清算価値算出シート
清算価値とは、申立人が所有する資産について、換金すればいくらの金銭が得られるかという数値のことです。
清算価値算出シートには、所有資産のそれぞれについて清算価値を記載し、合計額も記載します。
その合計額(清算価値の総額)が個人再生手続きによる最低弁済額を上回る場合は、清算価値の総額以上の金額を返済することになります。
例えば、借金総額が500万円の場合の最低弁済額は100万円ですが、清算価値の総額が150万円ある場合には150万円以上を返済することが必要です。
(6)家計全体の状況
簡単に言うと、家計表のことです。
申立て直前2か月分の家計の収支について、所定の書式に書き込みます。
通常は弁護士に個人再生を依頼した時点で取り立てが止まるため、借金の返済を除いた収支を記載することになります。
収支を計算した結果、再生後の借金の返済が可能となる程度の金額が残らない場合は、個人再生が認められないので注意してください。
その場合は、家計を見直した後に再度、「家計全体の状況」を作成する必要があります。
(7)可処分所得額算出シート(給与所得者等再生の場合のみ)
可処分所得額算出シートも家計表に似ていますが、こちらは実際の収支を記載するものではありません。
所定の書式に書き込んでいくことによって、客観的にみて1か月あたりいくらを借金の返済に充てることができるかを計算できるようになっています。
給与所得者等再生の場合は、このシートによって計算した「可処分所得」を毎月返済することになります。
配信: LEGAL MALL