少しでも役立つ情報を… 迷いながら発信 俳優・横田龍儀さん③

各界で活躍する方々に防災の取り組みなどを語っていただく「防災ニッポンボイス」。今シリーズは、俳優の横田龍儀さんです。横田さんは福島県川内村の自宅で東日本大震災に遭い、避難のため地元を離れた後、芸能界入りしました。3回めは、地元への思いや、ご自身の防災対策などについてです。

ふるさと福島への思い変わらず

2015年秋から1年半、福島中央テレビの夕方の番組で、全国を歩いて巡る「日本縦断 龍儀の歩く旅」というコーナーを担当させてもらいました。


写真説明:被災地を歩く横田さん。出会った人たちに逆に励まされた(画像提供/福島中央テレビ)

北海道の稚内から、鹿児島県の佐多岬まで歩きましたが、東日本大震災の被災地では、「復興はまだまだ途上だけれど、前に進んでいるな」と感じました。熊本県など、別の災害の被災地も訪れました。出会った被災者のみなさんは、自分もつらいだろうに、「頑張ってね」と僕を励ましてくれました。

「自分ができることは何だろう」

東京暮らしが長くなった今も、やはり福島のことは気になります。最近のニュースでは、福島第一原発の廃炉の話とか、処理水の海洋放出の話とかをよく聞くなと感じます。地元に先日帰った時には、防波堤が造成中だと聞いて、「13年たっても、まだ終わらないんだな…」と思いました。「こういう状況の中で、自分ができることは何だろう」とよく考えています。


写真説明:ファンへの感謝や、古里への思いを語る横田さん。「恩返ししたい」といつも考えているという

自宅に防災リュック常備、避難経路も確保

被災経験があるので、防災対策はある程度しているつもりです。

自宅には、水や食料など非常用品が入った防災リュックを備えていて、避難する経路には倒れてくるものがないようにしています。靴も、避難する時用の、足が痛くならないものは、靴箱に入れずにすぐ履ける場所に置いています。

あとは、車の中に、災害時にも使えるキャンプ道具などを常時積んでおくようにしています。

地震の際などに役立つ情報を投稿

いつからだったか覚えていませんが、大きな地震が起きた時などに、X(旧ツイッター)で発信するようになりました。

被災した当時に不安だったことや困ったことなどを思い出して、僕の発信が、誰かの何かの役に立ってほしいと思って投稿しています。ただ、それを偽善だと思う人も当然いますし、自分としては正しい情報を伝えたいと思っているけれど、間違っている可能性もあるな…と思うと難しいですね。

能登半島地震で虚偽…「人を惑わせることは書かない」

1月の能登半島地震の時、「閉じ込められている、助けて」という虚偽の投稿がすごく出回りました。それも念頭にあるので、「人を惑わせるような発信をしてはいけない」と意識しています。これからも、言葉を選んで、役立つ情報などを発信していきたいです。

ファンと福島の人に恩返しを

被災した僕が、いまこうやっていられるのは、家族や友人の支えや、ファンの方々の応援のおかげなので、恩返しをしたいと常に思っています。

有名になれば発言力もより高まると思うので、もっと知名度を上げて、多くの人に僕のことを知ってもらいたいと思います。そして、何かあった時には、僕の言葉で人を安心させられたり励ましたりできるように、これからも頑張っていきたいです。

※「防災ニッポンボイス」横田流儀さんのシリーズはこれで終了します。

横田龍儀さんのシリーズ1回目はこちら→経験したことのない揺れ 「死ぬんだな」と覚悟

2回目→先の見えない避難を経て芸能界へ

<プロフィール>

福島県川内村出身。2012年「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で審査員特別賞受賞。2015年9月~2017年3月、福島中央テレビ「ゴジてれChu!」内コーナーで徒歩で日本縦断。2019年川内村ふるさと大使就任。「ミュージカル刀剣乱舞~三百年の子守唄」、「MANKAI STAGE『A3!』」などに出演、2024年6月にミュージカル「鉄鼠の檻」に出演予定

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