俳優・関貴昭さん逝去 死因の「食道がん」の初期症状・原因・なりやすい人の特徴を医師が解説

俳優・関貴昭さん逝去 死因の「食道がん」の初期症状・原因・なりやすい人の特徴を医師が解説

食道がんの治療方法や治療中の過ごし方

食道がんの検査方法や治療方法が知りたいです。

食道がんの検査は、治療方針を決めるためにがんの進行度・周辺臓器への広がり・リンパ節・肺・肝臓などへの転移の有無を調べる必要があります。そのため上部消化管内視鏡検査だけでなく、造影検査・超音波検査・病理検査・CT・MRI・PET検査・血液検査など様々な検査を行います。確定診断で行われる検査は、主に上部消化管内視鏡検査と病理検査です。
治療方法はがんの進行度や体の状態を含めて検討・決定します。検査で粘膜にとどまると判断して内視鏡治療を行っても、病理組織検査で粘膜より深く浸潤している場合には、手術や化学放射線療法などの追加治療が行われることがあります。
ステージII期、III期に対する治療は、治療前に手術に耐えうるかの全身状態を調べて、手術可能と判断した場合は術前に化学療法を行って手術を行うのが一般的です。手術を先行した場合は、切除標本の病理組織検査で、リンパ節転移の有無などを調べて、転移陽性の場合は術後化学療法を施行します。
ステージIV期食道がんでは病変が局所にとどまるIVa期では化学放射線療法が、またIVb期ではがんが局所をこえて進行している状態であり、化学療法が一般的です。しかし、患者さんのパフォーマンスステータス(PS)が不良な場合は緩和的対症療法が主体となります。

治療中の過ごし方で気をつけることなどあれば教えて下さい。

食道がんで手術を行った場合、食事の通り道が変わるため食事量が減り、体重も減少していきます。また胃液の逆流による逆流性食道炎や、飲食物が早く小腸に吸収されるダンピング症候群も引き起こしやすくなります。ダンピング症候群とは食道や胃の手術の影響で食べ物の通り道が変わったことで、食べ物が直接腸に流れ込むことでめまい・動悸・頭痛など不快な症状が出る病気です。
逆流性食道炎やダンピング症候群への対策は、1回の食事量を少なくし食事回数を増やすことや、30分以上時間をかけてゆっくり食べるようにし、食後は上体を上げた状態で休むなどの工夫が必要です。
ほかに胸焼けや食後の腹痛・つかえ感が続く時は医師へ相談し、対応してもらいましょう。

治療による副作用や後遺症はありますか?

まず放射線治療では照射部位の胸焼けやつかえ感を感じやすく、皮膚の乾燥や日焼けに似た症状も現れる場合があります。これらの症状は治療開始してから2〜4週間ほどで改善しますが、症状が酷い場合は治療を中断することもあります。
また、治療が終わった後も放射線によって肺炎・心内膜炎・胸水貯留など周辺の臓器に影響して症状が出ることもあり、治療後も継続して医師の観察が必要です。
ほかにも化学療法の副作用で、髪が抜けやすくなる・口内炎・貧血・嘔気・易感染といった症状が出ることもありますが個人差があります。副作用が強く出る場合は我慢せず、医師へ相談しましょう。

食道がんが再発する可能性はあるのでしょうか?

食道がんが再発する確率は40〜60%で、米国では50%以上です。再発する場所は、リンパ節・局所が20〜70%・肺・肝臓・脳など遠隔臓器への転移が10〜50%と比較的高い確率となっています。
食道がんの根治切除後に再発した場合、生存率は極めて低く再発と診断を受けてから平均5〜10ヶ月しか生存期間がありません。食道がんの再発は、80〜90%程度の確率で初回の治療から2年以内に発見されることが多いので、この期間は特に再発に注意し経過観察していく必要があります。
そのため治療が1度終わって安心するのではなく、治療後も気になる症状があったら早めに医師へ相談しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

近年禁煙する人が増えつつありますが、その中でもまだ喫煙を続けている人もいるでしょう。タバコと大量の飲酒は、食道がんの発症リスクを高める大きな要因になります。
長生きするためにも禁煙や飲酒を控えるなど、健康管理を意識すると食道がんになるリスクを減らせます。ほかにも緑黄色野菜や果物の摂取は食道がんの予防になるという指摘もあるので、栄養バランスのいい食事を心がけてください。
また食道がんは早期発見・早期診断がその後の人生を大きく左右するので、少しでも気になる症状があったら早めに医療機関へ受診しましょう。自覚症状がほとんどないので、定期的に内視鏡検査を受けると発見しやすくなります。

編集部まとめ

食道がんは1度根治手術を行っても、再発するリスクが高い非常に危険な病気です。再発してしまうと余命が短くなる傾向にあるので、発症予防が大事になります。

喫煙・飲酒・肥満・熱い物・刺激物を習慣的に食べている人は発症リスクが高く、50歳以上の男性でこれらが当てはまる人は要注意です。

自分が当てはまると感じたら嗜好品など控えるようにし、少しでも気になる症状があったら早めに医療機関へ受診することで、早期発見につながり完治率が高くなるでしょう。

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