写真:PIXTA
「30年以内に70%の確率で発生する」とされるマグニチュード7クラスの「首都直下地震」では、多くの死傷者や建物倒壊が発生することが想定されています。
また、首都直下地震では、道路や鉄道などのインフラや、電気、ガス、水道などライフラインの被害も想定されており、命が助かっても生活には大きな影響が出ると予想されています。
この記事では、首都直下地震でインフラやライフラインにどのような影響があるのかと復旧までの期間、また、被害に備えるために今できることなどを紹介します。
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首都直下地震とは
首都直下地震とは、東京都を含む関東地方を震源として起こる地震のことで、いま発生が懸念されているのはマグニチュード7クラスの巨大地震です。国の中枢機関が多く集まる首都で起こるため、甚大な被害が予想されています。
インフラやライフラインの被害が想定
首都直下地震ではインフラやライフラインの被害が想定されており、身の安全が確保できても、そのあとの生活に大きな影響が出る可能性があります。
インフラとは道路や鉄道や上下水道など私たちの生活の基盤となるもので、ライフラインとは電気や水道、ガスなど生活・生存に不可欠な設備のことです。
インフラとライフラインが被害を受けると、生きていくために必要なものやサービスなどが届かなくなり、場合によっては命を落とす可能性もあります。そのため、首都直下地震に備える場合は、インフラやライフラインの被害も想定して行うことが大切です。
首都直下地震によるインフラやライフラインへの影響と復旧までの期間
ここでは、想定されている首都直下地震によるインフラやライフラインへの影響と復旧までの期間を紹介します。
電力
首都直下地震では、発災直後に約5割の地域で停電が予想され、1週間以上にわたり不安定な状況が続くとされています。
参考:内閣府「特集 首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」
地震の発災後は、3日~1週間程度は電気が使えない可能性があると想定しておく必要があります。懐中電灯やポータブル電源、モバイルバッテリー、手回しラジオ、電池などを備えておきましょう。
水道
首都直下地震では、都市部の約5割が断水し、約1割で下水道の使用ができなくなると想定されています。
参考:内閣府「特集 首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」
浄水施設などが被災すると断水が長期化する可能性があります。また、集合住宅においては、排水管の修理が終わるまで水道が復旧してもトイレは使えません。
最低でも1週間分の水や簡易トイレを用意しておきましょう。
ガス
首都直下地震では、ガスの復旧に55日ほどかかると想定されており、電気の6日、上水道の30日よりも、復旧までに多くの時間がかかる可能性があります。
参考:内閣府「被害想定結果について」
ガスコンロが使えなくなる場合に備えて、カセットコンロやガスボンベを準備しておきましょう。
通信
首都直下地震が発生すると、電話やインターネットの利用が急増することで通信環境に大きな影響が出ると想定されます。
引用:内閣府「首都直下地震の被害想定と対策について」
通信設備の被害によっては、通話やインターネットなどの通信が長期に渡って不通となる可能性もあります。公衆電話の場所や使い方を事前にチェックしたり、災害時伝言ダイヤルの使い方を調べたりしておきましょう。
鉄道・道路
地下鉄は1週間、私鉄や在来線などは1か月程度、開通までに時間を要する可能性があります。
参考:内閣府「特集 首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」
主要道路が使えるまでには少なくとも1日~2日はかかり、そのあとは緊急交通路として使用します。一般車両が通行できるようになるまでには1週間以上かかる可能性もあります。また、都市部の一般道はガレキや放置車両などによって深刻な交通マヒの発生が予想されています。
インフラやライフラインの被害に備えるために今できること
震度7クラスの首都直下地震はいつ発生するか予想できるものではありません。
被害想定からも分かるように、発災から1週間はインフラやライフラインがまったく機能しない可能性もあり、その間は自分で水や食料などを確保しなければなりません。
インフラやライフラインが被害を受けた場合に何が必要になるかをイメージし、できることから備えましょう。
〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。
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配信: 防災ニッポン