「舌がんの末期症状」はご存知ですか?治療法や生存率も解説!医師が監修!

「舌がんの末期症状」はご存知ですか?治療法や生存率も解説!医師が監修!

舌がんは患者さん自身が確認できるがんでありながら、口内炎に似ていることから放置されやすい疾患です。そのため、受診時にはすでに末期の場合もあります。

末期の舌がんに対処するには、症状をよく知っておくことが重要です。初期症状とどのように違うのか把握すれば、治療を行いやすくなるでしょう。

この記事では舌がん末期にみられる症状を解説します。末期でも生活を楽しむためにできる治療法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。

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監修歯科医師:
熊谷 靖司(歯科医師)

熊谷歯科医院 院長

舌がんとは

口腔がんの1つで、舌にがん細胞が発生する舌がんはほかの臓器のがんほど詳しく知られていません。どのような疾患なのか、舌がんの特徴についてご紹介します。

主な症状

舌がんでは主に舌可動部の縁にがん細胞が発生します。
症状としては舌の異常感・腫脹・ただれ・疼痛を訴える患者さんが多いです。また患者さんの中には、触れると硬いしこりを感じる方もいます。
とはいえ、これらの症状は口内炎と非常に似ているため、口内炎と間違えて放置されやすい傾向が強いです。口内炎がなかなか治らず受診したところ、舌がんと診断されるケースが多くみられます。

患者数と好発年齢

毎年、3,000人を超える方が舌がんと診断されます。
2018年に舌がんと診断された患者さんは全国で5,418人です。同年の全がん罹患患者数が980,856人だったことをふまえると、がん患者さんの中で舌がんを発症する割合は1%未満であると分かります。
しかし患者数でみると決して少ない数ではありません。好発年齢は60代ですが、女性では40〜50代の患者さんも多くいます。さらに20代の若年層で発症する症例もあり、若い方も注意が必要です。

舌がん末期にみられる症状

小さなストレスでも口腔内は荒れやすく、大きな異変を感じて受診したときにはすでに末期まで舌がんが進行していることがあります。
ここからは主な3つの末期症状を解説します。

食事や会話が困難になる

舌は食事をするための咀嚼・嚥下運動の補助機能、また会話するための構音機能を持つ重要な器官です。
舌がんが進行し舌の大部分ががんに侵されると舌の動きが鈍くなるため、これらの役割を果たすのが難しくなります。
舌だけでなく、口全体が動かしにくくなってくるでしょう。また持続した痛み・出血によって、食事・会話に強い不快感を覚える患者さんもいます。
食事・会話はQOL(生活の質)に関わる分野であり、結果的に精神面にも影響を与えるといえます。

リンパ節などへの転移

ステージ4の舌がんは舌の深部にまで広がっており、リンパ節・周辺臓器への転移がみられるケースが多いです。
舌がんは特にリンパ節へ転移する頻度が高いという特徴があります。舌がん自体は治療で制御したものの、転移によって最悪の結果に至る症例もしばしば見受けられます。
転移は早い段階から起こり急速に進行する可能性があるため、転移の有無は予後を大きく左右する重要なポイントです。

全身症状

舌がんは舌の疾患ですが、舌だけに症状が出るわけではありません。
まず舌・顔周辺の症状として声が変化したり顔面が変形したりする場合があります。また、食事ができないことによる体重減少、舌の動きが制限されることによる呼吸困難も生じやすくなるでしょう。
さらに高カルシウム血症を引き起こし、浮腫・疲労感・意識障害を自覚する患者さんもいます。このように症状が全身に及んでいる場合は、非常に危険な状態です。

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