夏に起こりやすい気象災害とは? 対策や備えておきたい防災グッズを紹介


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夏は大雨や台風などによる気象災害が起こりやすい

夏は年間を通して気象災害が起こりやすい季節です。

夏は気温や湿度が高いことで、ゲリラ豪雨や竜巻のもとになる積乱雲が発達しやすいこと、台風シーズンと重なることが挙げられます。

また、最近では大雨をもたらす線状降水帯と呼ばれる気象用語を見聞きする機会も増えましたが、これも夏の時期に発生しやすい現象です。

さらに夏は熱中症のリスクも高い季節であり、災害から身を守ることができても、そのあとの避難生活で熱中症にかかる可能性もあります。

この記事では、夏に起こりやすい災害の種類や内容、対策をはじめ、災害に備えておきたい防災グッズを紹介します。

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夏に起こりやすい災害

一般的に夏といえば、6月~8月を指します。夏といえば晴れて暑い日をイメージする方も多いと思いますが、6月上旬から7月中旬にかけて梅雨に入るため、夏の半分程度は曇りや雨が多い天気となります。

台風の発生・接近が最も多いのは8月

また、秋に来るイメージが強い台風ですが、8月が台風の発生数と接近数が年間を通してもっとも多い月です。

このように夏は気象災害のリスクが高い季節となるため、どのような災害リスクがあるかを正しく知り、備えておく必要があります。

ここでは、夏に起こりやすい災害を種類ごとに解説します。

大雨・ゲリラ豪雨

夏に大雨が発生しやすい理由の一つは、「梅雨」です。オホーツク海に発生する「オホーツク海高気圧」と呼ばれる冷たく湿った風と、太平洋に発生する温かい湿った風を発生させる「太平洋高気圧」がぶつかることによって生じる梅雨前線が長雨をもたらします。

この梅雨前線が6月上旬から7月中旬にかけて日本列島に停滞するため、梅雨には曇りや雨の日が多くなります。

そして、梅雨が大雨をもたらすのは梅雨前線が停滞することによって、線状降水帯が発生しやすいためです。

線状降水帯が発生すれば短時間で大規模災害になることも

線状降水帯とは次々と発生する発達した積乱雲が列をなして、同じ場所に数時間にわたって集中豪雨をもたらす降水域のことです。線状降水帯が発生すると記録的な集中豪雨となり、短時間で大規模災害につながることもあります。

動きが遅い梅雨前線…長期間大雨が続く可能性

また、低気圧や台風のように動きのある気象現象なら大雨は続いても2~3日ですが、動きが遅い梅雨前線だと、1週間以上にもわたって大雨が強弱を繰り返しながら続くこともあります。

一方、梅雨が明けて8月になると午後を中心にゲリラ豪雨が起こりやすくなりますが、これはいわゆる夕立と呼ばれる現象です。

気温の上がる午後に大気の状態が不安定になることによって積乱雲が発達し、局地的な豪雨をもたらします。

「激しい雨」が増加、内水氾濫起こりやすく

最近では、地球温暖化の影響により1時間50mm以上の激しい雨の頻度が増えており、短時間豪雨によって排水が追いつかなくなって浸水する内水氾濫が起こりやすくなっています。

大雨・ゲリラ豪雨の対策

大雨・ゲリラ豪雨の対策は、ハザードマップを確認して自分が住んでいる家や職場の災害リスクを把握しておくことです。

ハザードマップで洪水やマンホールなどの下水道から水があふれる内水が予想されている場所は、大雨・ゲリラ豪雨発生時に浸水の可能性があります。

浸水してからの避難は困難

浸水してからでは避難が難しいため、自治体の避難情報をチェックし、避難指示が出たら早めに避難することが大切です。また、身に危険を感じる場合は避難指示が出る前に自主的に避難場所に避難を行いましょう。スムーズに避難できるように、ハザードマップで事前に避難場所を確認しておくことが必要です。

梅雨の大雨は、事前に予想でき、夏のゲリラ豪雨も発生の可能性がある程度わかる気象現象であるため、数日前から気象情報やニュースで災害が起きる可能性が伝えられます。早いタイミングで避難までのシミュレーションを行うほか、防災用品をチェックして足りないものは買いそろえておきましょう。

土砂災害

夏は大雨やゲリラ豪雨によって土砂災害が起こりやすい季節でもあります。土砂災害は山腹や川底の石や土砂が一気に下流へと押し流される「土石流」や、山の斜面や自然の急傾斜の崖、人工造成による斜面が崩れ落ちる「崖崩れ」などがあります。

大雨やゲリラ豪雨で土砂災害が発生する理由は、地中の水分が増えることで土地がゆるみ不安定な状態となり、雨による水と一緒に土砂が流れ出すためです。

土砂災害は速いスピードと強い力で人命や家などの財産、道路などの交通網にも大きな影響を与えることがあります。

土砂災害の対策

土砂災害は周辺に山地がある場所で発生するため、まずはハザードマップで自宅や職場が土砂災害警戒区域に入っているかどうか確認しましょう。

土砂災害警戒区域に入っている場合は、事前に周辺の避難場所や避難経路をチェックしておく必要があります。

大雨警報と土砂災害警報に注意!

大雨やゲリラ豪雨が発生した場合は、大雨警報(土砂災害)と土砂災害警戒情報に注意します。大雨警報(土砂災害)は高齢者避難に該当する警戒レベル3、土砂災害警戒情報は避難指示に該当する警戒レベル4に該当します。

身に危険を感じる場合は大雨警報(土砂災害)の段階で安全な場所に避難し、土砂災害警戒情報が発表されたら直ちに避難しましょう。

もし避難できる状況でない場合は、崖から離れた2階以上の部屋に避難し、窓から離れましょう。

台風

台風は集中豪雨による浸水や洪水、土砂災害に加えて、暴風による停電や交通障害、高波や高潮による沿岸部の浸水などの災害をもたらします。

夏の台風は「のろのろ」

また、夏の台風は「のろのろ台風」と呼ばれるように、進路が定まっていなかったり、北上速度が遅かったりするのも特徴の一つです。偏西風と呼ばれる風が夏の時期は日本上空に吹いておらず、台風を流す風が弱いことが原因で起こります。

そのため、夏の台風は大雨や暴風が長期化しやすい特徴があるため注意が必要です。

台風の対策

台風は事前に接近や被害がある程度予想できる気象現象です。台風情報や避難情報に基づいて正しい行動を取ることが大切です。

暴風による飛散物に警戒を

また、台風は暴風によって飛散物が飛んできて窓ガラスが割れたり、屋外の移動中にぶつかったりするリスクもあります。窓ガラス飛散防止のために飛散防止フィルムを窓に貼ったり、風で飛ばされそうなものを固定したり、屋内に移動させるなどの対策も必要です。

台風では暴風による停電も発生しやすいため、懐中電灯やスマホ充電用のモバイルバッテリー、家電が使えるポータブル電源も用意しておくとよいでしょう。

竜巻

夏は竜巻も発生しやすい季節です。竜巻は発達した積乱雲によってもたらされる激しい風の渦巻で、家屋の倒壊や電線が根こそぎ倒れるなどの被害が発生するケースもあります。

夏の竜巻は梅雨時期における集中豪雨の発生時や台風接近時に多く発生しており、集中豪雨や台風にあわせて竜巻への備えも必要です。

竜巻の対策

竜巻が接近すると以下のような前兆が現れます。

・雲の底から地上に伸びる漏斗雲(ろうとぐも)がある

・飛散物が筒状に舞い上がっている

・ゴーという音がする

・気圧の変化で耳に異常を感じる

前兆があれば1階の窓のない部屋へ! 屋外なら構造物や物陰で姿勢低く

このような前兆を確認した場合、屋内にいるときは1階の窓のない部屋に移動するか、窓がある場合は窓やカーテンを閉めて窓から離れます。

屋外にいる場合は、頑丈な構造物や物陰に入って姿勢を低くして身を守りましょう。なお、竜巻の危険性が高まると「竜巻注意情報」が気象庁から発表されるため、発表されたら外や雲の様子にも注意しましょう。

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