債務整理がバレる心配を解消|会社への影響と対策の詳細解説

債務整理がバレる心配を解消|会社への影響と対策の詳細解説

債務整理をすると、「会社にバレるのではないか…」と多くの方が不安に思うのではないでしょうか。将来の昇進に悪影響が出たり、最悪の場合はクビになるかもしれないという恐れもあります。

そんな不安を解消するために、

債務整理が会社にバレることはあるのか
債務整理が会社にバレたときにはどうなってしまうのか
債務整理に関する方法や費用、弁護士の選び方

などについて解説します。

弁護士相談に不安がある方!こちらをご覧ください。

1、債務整理が会社にバレるとクビになることはあるのか?

債務整理を検討している人にとって、一番大きな不安は、「債務整理が会社にバレると不利益なことはあるのか」ということでしょう。

この点について、結論を先に示しておけば、「会社は債務整理(だけ)を原因に従業員に対する不利益処分(懲戒処分)はできない」ということになります。

(1)懲戒処分についての法律上のルール

会社は、従業員を自由に処分できるというわけではありません。

労働契約法という法律が会社による従業員の懲戒(降格・減給などの不利益処分)・解雇について一定のルールを定めているからです。

労働契約法15条(懲戒)

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

労働契約法16条(解雇)

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

上記のいずれの条文も会社による従業員の懲戒・解雇には、「客観的に合理的な理由」が必要であるとされています。 

法律論としては、従業員が「債務整理しただけ」で会社が懲戒・解雇の処分をすることは、「客観的に合理的な理由がない処分」なので、無効であると考えるのが一般的です。

会社の事業とは全く無関係な私生活上の出来事が懲戒・解雇の事由となるのは、不適切と考えられるからです。

(2)債務整理が原因で懲戒処分されうる例外的な場合

従業員が債務整理したことに関係して、会社が懲戒・解雇権を行使することができると考えられるのは、次の2つの場合です。

就業規則において債務整理したことが懲戒事由になる旨が定められているとき
債務整理が会社の事業に対して著しい支障を生じさせた場合

ただし、債務整理(自己破産)したことが懲戒・解雇事由に該当するという就業規則は、そもそも労働契約法に抵触する就業規則として、その規定自体が無効であると争える余地が残されています。

債務整理が原因で処分されるのは、実質的には、「債務整理によって会社の事業に重大な迷惑をかけた場合」のみということもできます。

(3)就業制限・資格制限に関係する仕事では特に注意が必要

債務整理の方法として自己破産を選択する場合には、一定の職業や資格に制限が生じる場合があることに注意する必要があります。

たとえば、宅地建物取引士や旅行業務取扱管理者といった資格は、自己破産したことで(免責確定によって復権するまでの間)資格が停止となります。

そのため、宅建業者や旅行業者の営業所長として従事することができなくなります。

また、警備会社に勤めている人が自己破産した場合には、自己破産手続きの開始から復権するまでの間は、警備業務に従事することができなくなります(警備業務以外のいわゆる内勤は問題ありません)。

(4)「資格制限=懲戒・解雇」というわけではない~早めの報告・相談が重要

資格・就業制限に該当する人が自己破産した場合には、「当然に解雇される」というわけではありません。

自己破産したことで、当初の業務に従事できなくなったとしても、配置転換などによって、他の業務で会社に貢献することができれば、「会社の事業に著しい支障を来した」とはいえないからです。

そのため、資格・就業制限に該当する人が自己破産をするときには、自己破産手続きが開始される前のできるだけ早い時期に会社に報告・相談することが重要であるといえます。

むしろ、会社に自己破産することを知らせずに、従事することのできない業務を継続してしまった場合の方が、懲戒・解雇になる可能性が高くなりますので注意しましょう。

2、債務整理が会社にバレる4つのパターン

債務整理で借金を解決しても、基本的には会社にバレる確率は高いものではありません。

実際の債務整理のほとんどは、会社にバレることなく終わっています。

ただし、以下のケースに該当する場合には、債務整理したことが会社にバレる可能性が高くなる(確実に会社にバレる場合もある)ので注意する必要があります。

(1)会社と金銭のやりとりがある場合(会社からの借金、未払い給料)

当然のことですが会社からの借金を債務整理した場合には、会社にバレることなく債務整理をするのは不可能です。

債権者を関与させずに借金を整理する(減額・免除してもらう)ことはできないからです。

特に、会社から何かしらの借入金がある状態で、自己破産・個人再生をした場合には、債務整理したことを必ず会社に知らせなければならないので注意が必要です。

また、未払い給料や会社への貸付金がある場合のように、会社に対する債権を有しているときに自己破産した場合も、この未払い給料債権との関係で会社に自己破産したことを知らせなければならないことがあります。

(2)共済組合などからの借入れを債務整理した場合

上のケースに類似するケースですが、会社と関係の近い団体や個人からの借金を債務整理した場合なども会社に債務整理を知られるリスクは高いといえます。

債務整理の対象となった債権者から会社に債務整理の事実が伝わることもありうるからです。

このケースの典型例としては、共済組合、労働組合、ろうきん、会社の同僚などからの借入れを債務整理した場合を挙げることができます。

(3)官報公告を会社がチェックしていた場合

自己破産・個人再生によって債務整理をしたときは、「官報」という政府発行の広報誌によって、手続きが始まったことなどが公告されてしまいます。

自己破産・個人再生は、すべての債権者を対象に手続きを進めなければならないため、手続きが始まっていることなどを確実に伝える(債務者から提出された債権者一覧表に漏れがあった場合に備える)必要があるからです。

ただ、一般的な会社が毎日官報をチェックするということは、ほとんどあり得ないことなので、実際に官報経由で(リアルタイムに)債務整理したことが会社にバレる確率はかなり低いと思われます。

(4)債務整理に必要な書類を会社に請求した場合

このパターンが、債務整理したことが会社にバレるケースで最も多いといえます。

たとえば、自己破産・個人再生では、手続き開始時点での「退職金支給見込額」を裁判所に申告するために、その算出根拠となる資料をそろえる必要があります。

そのため、会社に「退職金見込額証明書」を発行してもらう必要があります。

しかし、この退職金見込額証明書は、通常はほとんど利用されない証明書なので、会社に発行を請求したことで「この人は自己破産(個人再生)するのかもしれない」と会社に疑われる可能性があります。

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