「任意整理をしたいけれど費用が払えない!自分で手続きするしかないのかな…」
このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、
任意整理にかかる費用の相場
自分で任意整理をする方法
任意整理の弁護士費用を無理なく支払う方法
などについて、弁護士がやさしく解説していきます。
1、任意整理の費用の相場
借金の返済に追われていると、ただでさえお金が足りないのですから、任意整理の費用負担が気になるのも無理はありません。
そこで、まずは任意整理をするためにどれくらいの費用がかかるのかを確認しておきましょう。
(1)任意整理手続きにかかる費用
任意整理の費用は、手続きそのものにかかる費用(実費)と、弁護士などの専門家に依頼するための費用に分かれます。
自分で任意整理をする場合は、実費の負担のみで手続きができます。
実費としては、債権者に手紙や資料を送付するための郵送費や、債権者と交渉する際の電話代などが主です。
もっとも、郵便も電話も、債権者から送ってくることが多いものです。
結局、実費としては1,000円もかからないことが多いでしょう。
つまり、自分で任意整理をする場合は、ごくわずかな費用しかかかりません。
(2)弁護士に依頼する場合の費用
任意整理の費用の中で大きなウェイトを占めるのは、弁護士などの専門家に依頼するための費用です。
弁護士に任意整理を依頼する場合の費用の相場は、以下のとおりです。
着手金:2万円~5万円(1社につき)
報酬金:2万円~5万円(1社につき)
減額報酬:減額した金額の10%
着手金とは、弁護士に任意整理を依頼する時点でかかる費用のことです。
報酬金とは、弁護士が債権者と交渉することによって和解が成立した場合にかかる費用です。
減額報酬とは、弁護士が債権者と交渉することによって元金を減額できたときにかかる費用です。
もっとも、任意整理では基本的に元金は減額できないので、減額報酬はあまり気にする必要はありません。
以上の相場に基づいて計算すると、債権者5社との任意整理を依頼する場合の弁護士費用は、合計で10万円~25万円(税抜き)程度ということになります。
大きな幅がありますが、ボリュームゾーンとしては税込みで22万円程度となることが多いようです。
ただ、弁護士費用は事務所ごとに独自の料金体系が定められていますので、まちまちです。
例えば、借入金額に応じて着手金が業者ごとに変わってくるような料金体系を採用している事務所もあります。
ここでご紹介した金額は、あくまでも目安としてお考えください。
(3)司法書士に依頼する場合の費用
任意整理は弁護士だけでなく、司法書士に依頼することもできます。
そして、一般的に司法書士に依頼する方が費用は若干、安くなる傾向にあります。
司法書士に任意整理を依頼する場合の費用の相場は、以下のとおりです。
基本報酬:1万円~5万円(1社につき)
減額報酬:減額した金額の10%
もっとも、司法書士費用も、司法書士の事務所ごとに独自に定められているのでまちまちです。
なかには、弁護士費用よりも高い料金体系を定めている事務所もあります。「司法書士だから費用が安い」と一概にいうことはできません。
実際に依頼する際には、弁護士事務所と司法書士事務所を含めて、複数の事務所で見積もりをとって比較することが大切です。
2、費用が払えない…自分で任意整理をすることも可能?
弁護士費用や司法書士費用の相場をご覧になって、「こんな費用は払えない…」と感じた方も多いことでしょう。
任意整理は、自分で行うことも可能です。ここでは、自分で任意整理を行う場合の手順を解説します。
(1)取引履歴を取り寄せる
まずは、任意整理の相手方となる貸金業者から「取引履歴」を取り寄せます。
取引履歴とは、その貸金業者との取引がすべて記載された記録のことです。
任意整理で今後の返済額や返済方法を交渉するためには、まず今までの取引内容を正確に把握しなければなりませんので、取引履歴が必要となります。
取引履歴を取り寄せる手続きは、難しくありません。
貸金業者に連絡して「任意整理をしたいので取引履歴を送ってほしい」と申し出れば、送付してもらえます。特に文句を言われることもありません。
(2)利息引き直し計算をする
取引履歴が届いたら、すべての取引について利息引き直し計算を行います。
利息引き直し計算とは、貸金業者が設定した約定利率に基づいて行われた取引について、利息制限法所定の利率を適用して計算し直す作業のことをいいます。
約定利率が利息制限法所定の利率よりも高い場合(グレーゾーン金利で取引が行われていた場合)は、利息引き直し計算を行うことによって元金が減り、場合によっては過払い金が発生していることが判明することもあります。
現在は法改正の影響で、正規の貸金業者がグレーゾーン金利で取引を行うことはなくなっています。
もっとも、2010年6月17日以前から借り入れをしている場合は、グレーゾーン金利で取引している可能性がありますので、必ず利息引き直し計算を行いましょう。
利息引き直し計算の作業は、無料の利息計算ソフトを使えば難しくありません。
しかし、金利の選択ミスや入力ミスが生じることが少なくありませんので、慎重に作業をする必要があります。
(3)債権者と交渉する
利息引き直し計算によって正しい残元金が判明したら、今後の返済について債権者と交渉します。
交渉すべき項目は、以下のとおりです。
元金を減額してもらえるか
将来利息をカットしてもらえるか
遅延損害金をカットしてもらえるか
返済期限を延長してもらえるか
毎月の返済額を減らしてもらえるか
もっとも、元金は弁護士が交渉したとしても、基本的に減額されません。
近年では遅延損害金のカットに応じない貸金業者も増えてきました。
遅延損害金については、カットしてくれる債権者は何も言わなくてもカットしてくれることが多いのに対して、カットしてくれない業者は交渉してもなかなかカットに応じてくれないという状況にあります。
そのため、交渉の重要ポイントは、将来利息を確実にカットしてもらった上で、できる限り返済期限を延長してもらい、毎月の返済額を減らしてもらうということになります。
(4)合意ができたら和解する
貸金業者との交渉の結果、合意ができたら和解が成立し、改めて返済をしていきます。
和解するときは、必ず和解書を作成しましょう。
自分で任意整理をする場合は、貸金業者が和解書を作成して送付してきます。
2通が送られてくるので、それぞれに署名・押印をし、1通を返送してもう1通を自分で保管することになります。
和解書に記載されている内容が今後の返済条件となりますので、合意した内容と違っていないかを慎重に確認した上で、署名・押印しましょう。
配信: LEGAL MALL