「学校のトイレ研究会が2011年に行った大阪の某公立小学校のアンケート調査の結果では、トイレに行くのを我慢したことがある子どもは166人のうち75人 。半数近い生徒が、学校では排便はしないと答えた調査結果もあり、かなりの割合の小学生が学校のトイレで排便することを敬遠していることがわかります」
こう話すのは、学校のトイレの研究会主任研究員の井尾加奈子さん。我慢する原因は大きく分けて、ニオイや汚いなどのトイレの衛生面と、恥ずかしさやからかわれることを気にするなどの排便に対するネガティブなイメージによるもの。小学校のトイレは改修が遅れていて、老朽化して不快なニオイがしたり、普段使い慣れない和式便器が多く残っていたりするなど、小学生が苦手意識を持ちやすい状況なのだという。
特に児童たちは和式を避ける傾向にあり、洋式に列ができることも。そうなると、ゆっくりトイレに時間をかけることができなくなってしまう。
「休憩時間にトイレに行けず、授業中にお腹が痛くなり保健室に行き、保健室またはその近くのトイレでゆっくり用を足す、という児童もいます」(井尾さん 以下同)
●トイレを我慢すると起こる健康被害
ではトイレを我慢することで、子どもの体調にどんな問題が起こるのだろうか?
「今の子どもたちは生活習慣の乱れや、塾や習い事で忙しいことが原因で、しっかりと排便時間をとれないことが多い。そのため、小学生の便秘症が増えています。便秘は腹痛や集中力の低下、イライラ、胃を圧迫されることによる食欲低下を招きます。ひどくなると腸閉塞に近い状態になり、激しい腹痛で救急外来に行く子も。生活習慣の乱れが便秘症状を悪化させてしまうので、生活のリズムを整えることが便秘予防につながります」
さらに、子どもが便秘であっても親が把握していないことが多いのだとか。
「小学生になると、『トイレは自分でできるもの』と親御さんは思いがち。お子さんが便秘になっていないか、ママは定期的に確認してあげてください」
早寝早起きをして朝ごはんをしっかり食べる生活を送っていれば、朝にもよおす。時間に余裕があれば、自宅で排便を済ませることができる。学校で排便をしづらい状況にあるなら、朝に家で排便できるような生活習慣にすることも有効な対策なのかもしれない。
(石水典子+ノオト)