【まずは認めることから…】大人のアザコン解消法

第1回 こんな弊害も?子どものアザコン
電車内で笑い声が聞こえると、「自分のことかもしれない!」 と思ってビクッとする、仕事をしていても、他人の目が気になって集中できない…。そんなあなたは、もしかするとアザーコンプレックス(他人の目や評価を気にしすぎた行動を取ってしまう)なのかもしれない。アザコンが悪化すると、やがては人間関係に疲弊し、大きなエネルギーを奪うことにもなりかねない! そこでここでは、アザコンに詳しい、『こころの相談室 メンタルケアフォレスト』代表で心理カウンセラーの森久美子先生を取材。無理なく“大人のアザコン”を和らげる方法を丁寧に紐解く。

●“大人のアザコン”チェック

・他者の視線が気になる。
(風邪をひいていなくてもマスクをつけたり、前髪を垂らして顔を隠す方が安心できるという人も)

・緊張しやすい。

・他者の機嫌や言動に影響を受けやすく、またそれがよくない場合は、「自分のせいでそのような気分にさせてしまったのではないか」などという自責傾向がある。悪い妄想を抱きやすい。

・自分はどうしたいのかということが、わかりにくかったりする。

・マイナスの感情を溜めこみやすい。

それでは、どうすれば人の目が気にならなくなるのだろうか?

「逆説的でありますが、“人の目を気にしないようにしよう!”などと、あまり強く思わない方がいいと思います。そう思えば思うほど、意識はそのことにとらわれてしまうからです。人目を気にしないようにしているのにやはり気にしてしまうため、その都度、そんな自分を責めて、逆に自己否定感を強化してしまうことにもなり得ます。そもそも人は、誰でも大なり小なり他者のことが気になるもの。ただ必要以上に気になるのであれば、それは“あるがままの自分では否定されるかもしれない、嫌われるかもしれない”という自己否定的な思い込みがあるからです」

コンプレックス

●人目を気にする自分を認めて深い呼吸を…

“人の目が気になる自分ではいけない”などと評価するのは、得策ではないという。

「いき過ぎていなければ、人を気にすることがよい方向に働く場合もありますし、そもそも性格を変えることは、誰にとっても簡単なことではありません。ですから、意志の力でなんとか人目を気にし過ぎる自分を変えようと試みるよりも、反対にそんな自分を受け容れようと努力する方がいいと思います」

もしも人の目が気になったら…。まずはただ、そんな自分に気づいてあげることが大切だ。

「例えば、人の目が気になって緊張していることに気づいたら、それを評価したり判断したりせず、“私は今、人の目が気になって緊張しているんだ”とそのまま受け止め、次に呼吸に意識を向けて、フゥーと吐く息とともに、その緊張を体の外に流し出すようなイメージを持ちましょう。問題は人の目が気になることではなく、一度気になると、長くそのことにとらわれ続けてしまうことにあります」

“自分を受け止める→深い呼吸で緊張を吐き出す”ことを習慣にすると、例え一瞬は人の目を気にしたとしても、そのことからスッと放れていくことができる「新しい感覚」を身に着けることができるという。

「その感覚と同時に、あるがままの自分を受け容れられるようになり、やがては自己肯定感が強化されていくことに繋がります」

呼吸と感情には密接な関係があり、ストレスを抱えやすい人は、呼吸も浅くなりがちだとか。呼吸が浅くなることから、心の落ち着きや余裕も失われるそうだ。

人目が気になって緊張したら、まずは深い呼吸を意識。やがては気になるアザコンも、少しずついい方向に向かうかもしれない。

(取材・文/吉富慶子)

お話をうかがった人

「こころの相談室 Mental Care Forest」代表・森久美子
森久美子
「こころの相談室 Mental Care Forest」代表
MCA(メンタルケア)協会 精神対話士 認定カウンセラー。カウンセリングルーム「メンタル ケア フォレスト」を岐阜県美濃市港町 1532-4で開業。内なる傷ついた子ども(インナーチャイルド)を癒すことで、セルフコンフィデンス(自分はありのままの自分でいいのだという自信)を高め、少しずつ自分の可能性の視点を変える独自の心理療法も試みている。
MCA(メンタルケア)協会 精神対話士 認定カウンセラー。カウンセリングルーム「メンタル ケア フォレスト」を岐阜県美濃市港町 1532-4で開業。内なる傷ついた子ども(インナーチャイルド)を癒すことで、セルフコンフィデンス(自分はありのままの自分でいいのだという自信)を高め、少しずつ自分の可能性の視点を変える独自の心理療法も試みている。