体罰が問題となる昨今、それに代わる新たな指導法として、こんな“グレー”な指導法で生徒を追い詰める“モンスター教師”が増えているといわれる。こういった教師は一度ターゲットとなる生徒を見つけると、目の敵にしてクラスを制圧するのが特徴だ。
そのターゲットに自分の子どもがされてしまったら? 親としてはどのように傷ついた子どもへのフォローをするべきか。
●親にできることは苦しむ子どもに共感し、否定しないこと
「まずは親が子どもの話に共感し、気持ちを十分に受容することが大切です。子どもの話を聞いていると、親はつい『要するに●●ということ?』というように話をまとめようとしたり、『それは違うと思うよ』『だったらこうすればいいじゃない』と親の価値観を口にしたりしがち。でも、それはひとまず押さえて子どもの内容に共感してあげましょう」
こう語るのは、『オバタリアン教師から息子を守れ - クレーマーとは呼ばせない! 親の心得』(中公新書ラクレ)の著書である、教育ジャーナリストのおおたとしまささんだ。
自分の苦しみを親がわかってくれただけで、子どもは救いや安心感が得られる。そうなると、親子の絆もさらに深まるというポジティブな面もあるのだ。
しかしその際に気を付けなくてはいけないのは、共感して子どもに「本当にひどい先生だね。きっとほかの人からも嫌われているよ」などと、先生の悪口を言ってしまうことだそう。
「気持ちはわかりますが、教師の人格まで否定してはいけません。『先生のこういうところはいけないけど、先生にもいいところはあるはずだよ』というのが、親がとるべきスタンスなのです」(おおたさん、以下同)
●理不尽をやりすごすことは、人生で必要な試練に
モンスター教師に苦しむ息子の気持ちに寄り添った後、次に考えるのは「じゃあどうするか?」ということ。程度によっては親が教師に直接話をしたり、それでもらちが明かなければ校長などの管理職に訴えたりする方法もあるだろう。
だが実際はそこまでいかず、「とりあえずもう少し様子をみる」「先生の言うことは聞き流すようにする」といった方法に落ち着くことのほうが多いのではないか。これだと根本的な解決方法にはならないかもしれないが、こういった“とりあえずやり過ごす”という方法はとても重要なのだという。
「モンスター教師にあたってしまうのは、ある意味理不尽なことです。でも世の中には理不尽に傷つけられることはいくらでもありますよね。人は国も境遇など、あらゆる定めを受け入れて“やり過ごす”ことで生きていかなければいけませんから」
モンスター教師の存在は、人間なら遅かれ早かれやってくる“理不尽”の象徴。この先の人生でも出くわすであろう理不尽な上級生や上司をうまくやり過ごすための試練のひとつともいえる。
とはいえ親の立場からすると、やり過ごすことができずに子どもが本当に苦しんでいるなら、手を差し伸べたほうがいい。その機会を逃さぬよう、子どもの友達やママ友らと情報共有をしつつ、子どものために戦うべきところは戦えるよう、しっかり目を離さず見守っていく姿勢は必要だ。
(高山惠+ノオト)