とはいえ、出先の授乳はハードルが高いことも…。出かける前に準備しておきたいことには、どんなことがあるだろうか。
●ケープと授乳服、どっちが使いやすいの?
まず外出先で授乳するときによく使われている物に、ケープと授乳服がある。これはどちらを使ってもいいの?
「個人的な意見ですが、ケープで飲んでいる赤ちゃんは苦しくないかな? と思うことがあります。それは、私がもしもシーツをかぶったままでペットボトルの飲み水を飲んだら飲みづらいように思うからです。ケープは、ママにとって乳房を隠している安心感があるので便利な商品です。しかし、ケープを使って授乳していると赤ちゃんの二酸化炭素が増えるというデータもあるんです」
そう答えるのは母乳専門家のあき助産師。文化学園大学服装学部の佐藤真理子さんらによる「授乳服、後授乳ケープを着用した際の、授乳環境と母子ストレスに関する研究」によれば、ケープの外より中の方が、二酸化炭素が多くなるという、データもあるという。
●授乳服で授乳するという選択もある
また、授乳服は女性にとっても授乳しやすい作りになっている。
「授乳服によっては、胸の横にサイドスリットが入っていたり、ドレープの加工がされたりしていて、普通のファッションと変わらないデザインの工夫がされています。授乳していることが周囲の人にも気づかれないように授乳できる商品もあります」
とはいえ、期間限定の授乳期間のためにわざわざ買うのももったいないような…。
「サイズが70~80㎝とすぐに成長する期間限定の赤ちゃんの洋服を買うことをもったいないと感じないのと同じように母乳は赤ちゃんの食事。授乳室がない施設で、トイレなどに移動して授乳するママもいるようです。どこでも授乳できる服なら、不衛生な場所を使うことを避けられます」
しかし、授乳服をうたう商品の中にも、赤ちゃんが触れる服として適していないものもあるので注意したい。
「おすすめできないのは、胸の下にボタンやファスナーが付いていて、乳首が出しやすいためだけの加工がされた服です。これでは公共の場で使うことはできません。ボタンやファスナーが付いていると、赤ちゃんがケガをする可能性さえあります。そうしたものがあしらわれていない授乳服のほうが、ママや子どもについて考えられた授乳服といえるでしょう」
あき助産師によると、「外出先で授乳するためには、まず『スマートな授乳の仕方』を自宅で練習しておくこともおすすめしたい」という。
自宅と同じように外でも授乳することができれば、赤ちゃん連れでも気負わずに出かけられそうだ。練習をして、たくさん親子でお出かけに行ってみよう。
(文・石水典子+ノオト 画像提供・モーハウス))