●SNSで円満夫婦アピール! “仮面夫婦”の実態
「仮面夫婦とよばれる夫婦は、その名のとおり端からみると一見仲良く見えたりするケースも多いのでわかりにくいですが、実際はけっこういるんです。私のところにも、仮面夫婦に相当する方のご相談はとても多いですね」(高草木さん 以下同)
“仮面夫婦”の主な特徴は以下の通りだという。
【仮面夫婦の特徴】
1) 他人の前では仲の良い夫婦や家族を演じる
(二人でスーパーに買い物に行ったり、SNSで夫婦円満アピールを欠かさないなど)
2) 2人の間に愛情はない
3) お互い目を合わせない
4) 子どもを交えての会話はするが、2人きりでの会話はしない
5) お互いの行動に関心を持たない
6) 生活費を渡す、家事をするなどの基本的なことはしている場合が多い
●仮面夫婦にありがちな結末は、“空の巣症候群”“熟年離婚”
このような状態になってしまう原因はさまざまだという。
「浮気問題や借金問題など大きな問題が原因で夫婦関係が悪化してこのような状態になってしまうケースから、特に何か大きな問題はなくても、日ごろの不満が蓄積した結果、仮面夫婦となってしまう夫婦もいます」
こうなる前に何か信頼関係を取り戻す方法はなかったのだろうか? と思ってしまうが…。
「仮面夫婦に多いのが、夫婦でさんざん話し合ってきたけれど解り合えなかったり、ケンカを繰り返す日々に疲れ、いつしか諦めの気持ちが強まって信頼関係も失われてしまうケースも多いのです。その結果、役割としての夫、妻はするけれども“心を込めてやる”とか、“アナタのために”ではなくて、こなしはするけどそれ以上でもそれ以下でもないという状態を選択するのです」
ここまで夫婦関係が悪化してしまった場合、離婚という選択肢もあるが、踏み切れない現実が立ちはだかる。
「離婚に踏み切れない理由としては、やはり“子どものこと”を挙げる方が多いですね。子どものためには夫婦関係は冷めきっていても一緒に暮らしているほうがいいという考えです。他にも、離婚後の経済問題を考えると離婚ができないケースも多いです。あとは、世間体もあります。そして、離婚について話し合ったり条件を決めたりするパワーがもはやないため、“同居人”と割り切ってしまえば楽という考えに至る夫婦もいます」
このように、“生きて行く”ということが綺麗ごとだけでは済まされないというのも事実。つまり、仮面夫婦は離婚や別居する場合と、今の状態を天秤にかけ、どちらが子どもや自分たちにとって都合よく楽なのかを考えた末に、“仮面夫婦”という道を選択しているという。では、夫婦間に愛情がなく子どもだけでつながっている夫婦は、将来的にどのような結末をたどりやすいのだろうか?
「もちろん、夫婦によってさまざまですが、仮面夫婦がたどりやすい結末として、ひとつは“空の巣症候群”があります。仮面夫婦の場合、どうしても互いに執着が子どもにいってしまうんです。そのエネルギーを注いだ子どもが巣立ってしまうと、寂しさや空虚感がつのり、やる気が失われたり、なかには不眠、鬱などになってしまうケースも」
また、子どもが巣立つタイミングで夫婦間にも変化が起こりやすいという。
「子どもが巣立つと、自分の時間が増え、じっくり考える時間も増えますね。そうすると、余計に“このままでいいのだろうか?”と、自分の人生観や夫婦の意味をあらためて考えはじめ、別居や熟年離婚してしまうケースも少なくありません」
夫婦にはそれぞれの事情があり、カタチがある。しかし、子どもの環境を考えるなら夫婦関係を改善できるに越したことはないが、対策はあるのだろうか?
「特別仲良くすることを考えるのではなく、互いを尊重し合い、困ったときは協力し合うというサラッとした関係づくりを心がけてみましょう。子どもの成長を見届けたら、新たな自分の人生を…と考えるにしても、しっかり自分が“将来どうなりたいのか?”をシミュレーションしておくことも大事です」
一度きりの人生。突発的な行動であとで後悔することのないよう、今一度、自身の夫婦関係、家族について振り返り、考えてみるきっかけにしてみてください。
(構成・文/横田裕美子)