幼児教育とは
「幼児」は、小学校に入学する前の子どもを指します。新生児である0歳を除き「1〜6歳ごろ」の子どもが該当する年代です。
幼稚園や保育園に通っている小さな子どもに行う教育全般を「幼児教育」と呼びます。
未就学児がよく遊び、学ぶこと
幼児に対する教育は、勉強だけではありません。歌を歌ったり友だちとコミュニケーションを取ったりする時間も立派な教育です。友だちと一緒に砂遊びをしているだけでも、学びは発見できるでしょう。
たとえば、1〜2歳の子どもは、砂場などでおもちゃを使って遊びながら道具の使い方を覚えます。砂で自分の好きな形を作れば、想像力も培われていくでしょう。
子ども同士でコミュニケーションを取りながら「おもちゃは自分だけが使うものではない」と気づけば、社会性も生まれます。子どもは遊びや教育を通して、様々なことを吸収するのです。
脳を育てる大切な時期
大人とは異なり幼児の頭はやわらかく、どんどん成長していきます。発想力や協調性など、IQでは測れない能力を伸ばせるのもこの時期です。
2歳ごろになると習いごともできるようになり、両親としては「将来のために力を伸ばしてあげたい」と考えることも多いでしょう。
幼稚園入園のための勉強をさせるのではなく、子どもが興味を持ったスポーツや遊びを中心に組み立てるのがおすすめです。
1〜2歳の幼児は、親のいうことであれば基本的に従います。興味や意思が芽生え始める時期に制限をしてしまうと受動的になり、成長したときに学ぶことへの意欲を持ちにくくなるリスクもゼロではありません。
「親がして欲しいこと」ではなく、子どもが自発的に楽しめる教育なら吸収率がぐんと高まるでしょう。
集団生活を経験すること
保育園や幼稚園で集団生活を経験することで、子どもは集団でどのように過ごせばよいか学んでいきます。保育園は「0歳(生後57日目)から就学前まで」、幼稚園は「満3歳から就学前まで」が対象です。
保育園は比較的通い始めが自由ですが、働くママなど子どもをずっと見ていられない人が優先です。預かり時間は園によって異なりますが、幼稚園は9:00~14:00、保育園は延長保育も含めると7:00~18:30が多いでしょう。
教育時間の長さは違うものの、保育園と幼稚園はどちらも「ほかの子どもたちと遊びながら学ぶこと」を目的とした場所です。家庭では、同じ世代の子どもたちとふれ合う機会はなかなかありません。
園で遊ぶことは、学びへの前向きな気持ちを高めるために有効です。好きなことや遊びに向ける意欲を通して、勉強などにも前向きに取り組めるようになります。
幼児教育・保育の無償化が開始
2019年10月から、幼稚園や保育園などの無償化が始まっています。原則「3~5歳」の子どもたちが対象ですが、住民税非課税世帯では「0~2歳」の子どもも無償化の対象です。
無償化の期間は「満3歳を迎える4月1日から」ですが、幼稚園の入園時期に合わせて判断します。保育施設を卒園する日まで保育料はかかりません。幼稚園は月額2万5700円が上限です。
認可外保育施設などでは共働き世帯など保育の必要性がある世帯に限り、月額3万7000円を上限として無償化の対象です。また、住民税非課税世帯の0~2歳の子どもたちは、月額4万2000円を上限に無償となります。
幼児教育のメリット
小さいうちにたくさんの遊びや学びを取り入れることで、子どもはぐんぐん成長していきます。人とのふれ合いや自分で考えて行動する経験を通して、大人になってからも役立つ力が備わるでしょう。
たくさんの人、自然とふれ合うこと
日常の遊びや人との会話も重要な幼児教育のひとつです。普段はできない自然のなかでの体験も、積極的にやりとげる力を育みます。
幼児教育は、机に向かって勉強するだけではなく、幅広い分野で子どもの能力を伸ばしていくのが目的です。家族でのキャンプやアウトドア、町内の運動会への参加など、様々な幼児教育の機会を逃さないようにしましょう。
親が「ただ遊んでいるだけ」と考えていても、子どもは遊びのなかから大切なことを学んでいます。友だちとおもちゃを仲良く使うなど、ちょっとしたことが大人になってからの協調性につながっていく要素です。
生きる力が育つ
幼児のうちに学ぶことは、直接生きる力につながります。生きていくうえで必要な能力は、勉強やIQの高さとは無関係です。
学校でよい点数を取ることも進学には重要ですが、幼児期の教育では頑張ろうとする力や会話力、考える力などが身につくでしょう。日常で起きたことに対して、柔軟に対応できる人は「地頭がよい」ともいわれます。
幼児期に子どもが楽しく自分の力で学んでいくことで「EQ」と呼ばれるコミュニケーション能力に関する数値も高まりやすい傾向です。EQが高く、相手や自分の感情を理解できる子どもは、自然と学びの機会が増えるでしょう。
英語を教えるのは早い方がよいの?
「将来のために、子どもには早いうちから英語を教えておきたい」と考える人も多いでしょう。小学生から学校の授業などで学ぶ機会も増えていますが、幼児期に英語にふれることで発音や聞き取り能力のアップにつながります。
無理やり英語を聞かせるのではなく、子ども自身が興味を持つことが重要です。
子どものころに英語を始めると上達しやすい
赤ちゃんは、大人の言葉を聞きながらまったく知らない日本語を覚えていきます。反対に「中高生になってから別の言語にふれてもなかなか覚えられない」という経験を持つ人は多いでしょう。
赤ちゃんと同じように、5〜6歳ごろまでの幼児も言語に対する吸収力は抜群です。「幼児のときに英語を教えてもらったからペラペラになった」とは限りませんが、小学校などで英語を学ぶときのアドバンテージにはなるでしょう。
子どもが自分から興味を見せたときがチャンスです。4~5歳までの言語能力が身につきやすい時期に、英語の歌やダンス、外国人との会話を通して英語学習を取り入れていきましょう。
まずは母語を正しく身につけることが大切
普通の幼児が日本語だけを学ぶ時期に、2種類の言語をマスターするのは簡単ではありません。英語にこだわりすぎると、日本語がおろそかになる可能性があります。
母語は、考えるためのベースになる言語です。自分の思いを言葉にすることで、形作る助けになります。日本で生活する以上、母国語を問題なく操れるようになってから英語学習に取り組みましょう。
しかし「子ども自身が英語が好きで遊びのように学習している」のであれば、やめさせる必要はありません。学びの時間が増えているぶんには、両方の言語を習得しやすくなります。
無理のない範囲で、遊びなどの側面も取り入れながら日本語と英語を学んでいきましょう。
家庭でできる幼児教育とは
家庭でも、親と子のコミュニケーションを通して幼児教育ができます。一緒に遊んだり子どもと会話したりと、積極的にふれ合う時間をつくりましょう。
一緒に遊ぶ
家のなかや公園などでも、幼児教育は行われています。積み木やお絵かきなどの子どもが1人でできることをはじめ、親子で音楽やダンスを楽しむのも幼児教育です。
公園に行って縄跳びやブランコで遊ぶなど、体を動かす運動も子どもの成長を助けます。親がお客さんになって、お店屋さんごっこを楽しむなどの遊びも言葉の発達やお店のシステムの理解などにつながるでしょう。
子どもが好む遊びが中心になりますが、運動や芸術、想像力を鍛える作業など幅広いジャンルの幼児教育が楽しめます。
コミュニケーションを楽しむ
まだ言葉を完全に覚えていない1~2歳の子どもは、経験するすべてのことが教育につながります。新しいものに触れるだけで、大きな刺激になるでしょう。
たとえば、おもちゃなどに触るだけでも、触感や形など様々なことが伝わります。言語能力を意識するときは、親が積極的に話しかけるなどコミュニケーションも大切です。
幼児期の会話のキャッチボールは子どもに愛情を感じさせ、豊かな心を育みます。歌を歌う、絵本を読むなど子どもが興味を持つ方法で、幼児教育を進めていきましょう。
特に、長い時間子どもと一緒にいることが多いママは、自分の声で子どもに語りかけるのが大切です。子どもがラジオやテレビの音を聞いて言葉を覚えるよりも、ママとの会話で自然に覚えた言葉の方が身につきやすいでしょう。
年齢、目的別おすすめの教材はこちら
知育教材は本だけでなく積み木などのパズル系もありますが、自分の子どもに合う教材を選ぶのが重要です。年齢や好み、目的などに合わせて選択しましょう。
教材に記載されている目安年齢だけでなく、自分の子どもの発達具合に合わせるのもポイントです。
0歳から3歳に 脳とこころの『おけいこ』シリーズ
0〜3歳まで、年齢に合わせた「おけいこ」ができる絵本です。0歳のときはママやパパと楽しめる「いないいないばあカード」や、手先を使うキューブグッズなどが付いています。
1歳向けの本に付属しているのは、トイレトレーニンググッズや様々な物の形や色を学ぶ「いろ・かたちカード」です。2歳になると、歯みがきを覚えるためのグッズやパズルを楽しむカードなど、成長に役立つアイテムがそろいます。
3歳向けでは、子どもが貼って遊べるシールやカード、親子で楽しめる体操の情報と遊びのヒントが満載です。ドリルのように年齢ごとに書籍化されているため、成長とともに買い替えるのも楽しみ方のひとつでしょう。
・Amazon:1さいの おけいこ (すくすく げんき! 脳とこころ)
4歳になったら『天才ドリル プチ』
幼児向けの知育教材が集まる人気サイト「幼児の知育教材」から、おすすめの教材を厳選したドリルです。「数多くの教材からどれを選べばよいのかわからない」と悩んでいるママ・パパにも向いています。
「めいろ」「ずけい」「つみき」「かず・すうじ」など、子どもが興味を持った題材を選べることも特徴です。タイトルの題材を扱った問題が載っています。
4歳から小学校入学まで使える幅広い問題で、自分で考える力を育む作業をサポートしてくれる教材です。時間をかけ、少しずつ問題に取り組むことで、コツコツと頑張る力や最後までやりとげる力にもつながります。
『かな絵ちゃん英語カード』で英語に慣れる
60年前から日本で始まった「七田式」は、現在19カ国で広まっています。「子どもが生まれながらに持っている能力を目覚めさせよう」とで、様々な教材や学習方法を提案している組織です。
かな絵ちゃん英語カードは、英語とイラストを結びつけて印象づける「フラッシュカード」の仕組みを採用しています。フラッシュカードは片面にイラストが描かれ、反対側に文字が書かれたカードです。
「幼児に向けてイラストや文字を見せながら対応する言葉を発声し次々カードを切り替えていく」のがフラッシュカードの使い方とされています。
かな絵ちゃんシリーズは、専用の英語CD付きです。英語の発音に自信がない人でも、CDの読みあげに合わせて絵を素早くめくるだけで済みます。
まとめ
「幼児教育は小さな子どもを机に向かわせて勉強させることでは?」と捉えがちですが、遊びや友だちとのコミュニケーションも幼児教育に含まれます。
家庭でも積極的に子どもと遊ぶことで、心身の発達につながるのです。幼いうちは物にふれるところから始めて、知育教材などもうまく活用していきましょう。