日本は子ども嫌いが多い?
子どもやその親への風当たりの強さから、日々子育てのしにくさを感じているママは少なくありません。まずは、「子ども嫌いが多いな」と実感せざるを得ない主なシチュエーションから確認していきましょう。
保育園や学校の声がうるさいと言われる
子どもを抱える社会において、保育園や学校といった保育・学習を担う施設は必要不可欠な存在です。しかし、現代の日本では、そのような子どものための施設ですら騒音にまつわるトラブルが後を絶ちません。
「子どもの声がうるさい」という苦情が日々寄せられるのはもちろん、建設予定の施設が近隣住民の反対により計画の中止や延期に追い込まれることも珍しくないのです。
保育や教育の場すら受け入れられない社会に対し、「子どもは嫌われる存在なんだ」とママたちが感じてしまうのは無理もないことなのかもしれません。
電車で怒鳴られるママも多い
ママがいたたまれなさを感じるのは、保育園や学校のようなたくさんの子どもが集まる場だけではありません。特に多く挙げられるのが、電車などの公共交通機関です。
連れていた子どもが泣き声をあげた途端どこからともなく怒鳴られた、止むなく使っているベビーカーに舌打ちをされたといった話は枚挙に暇がありません。
このようなエピソードを見聞きすることで、公共交通機関を利用することに子育て中のママは不安や引け目を感じてしまいます。
なぜ子どもが嫌いなの?
では、子ども嫌いの人の心理とはいったいどのようなものなのでしょうか。子ども嫌いの人が子どもに対して抱く嫌悪や怒りの正体を解き明かしていきましょう。
とにかくうるさいから
子ども嫌いの人は、多くの場合うるさい環境を嫌います。余計な騒音に煩わされることなく静かに過ごしたいという思いが、人一倍強い傾向にあるのです。
大人であれば、自分が周囲からどう見られているかを客観的に判断してその場に合わせた振る舞いができますが、子どもの場合はそうはいきません。
社会性が未発達な子どもは、TPOや周囲からどう見られるかよりもその場の自分の欲求に忠実です。話したいことがあれば所かまわず声をあげ、気持ちが不安定ならば大声で泣くでしょう。
うるさい環境を嫌う人にとって、そのような子どもは大切な静寂を乱す厄介な存在でしかないのです。
ワガママだから
自分の欲求に忠実な子どもは、基本的にワガママでもあります。TPOや他人の気持ちを察する力が未熟なぶん、「これがしたい」「あれが欲しい」と決して譲らず、大人を困らせることも多いでしょう。
そのような子どもの姿に対し、「なんてワガママなんだ」「腹立たしい」と感じる大人は少なくありません。
特に、普段子どもと接する機会が少ない人ほど、子どものワガママに対してイライラしやすく、直情的に怒りをぶつける傾向があります。
大人が子どものワガママに苛立ってしまうのは、子どものワガママそのものに怒りを感じるというよりは、うまい宥め方が分からずに混乱してしまうからなのかもしれません。
親の態度も見られている?
いくら子ども嫌いでも、大抵の人は「子どもがうるさかったりワガママを言ったりするのは仕方がない」と理解を示しているものです。
しかし、子どもの無作法に対し、代わりに謝罪するでもなく、あやすでもなく、開き直ったかのような態度を見せる親には「許せない」と感じる人が大半でしょう。
子連れで行動をする際は、周囲の無理解を嘆く前に、まず親自身の振る舞いを振り返ることが必要かもしれません。
子連れが迷惑だとされてしまうのはなぜ?
子連れに対する社会の視線は、近年ますます厳しいものになりつつあります。そうした風潮を生んでいる主な要因について確認していきましょう。
迷惑をかけてはいけないとされる国だから
日本人は、「人に迷惑をかけず、自己責任で行動する」ことを美徳とする国民性です。
こうした無言の圧力が行き過ぎた結果、子連れに対し「好きで子どもを産んだのだから、他人に迷惑をかけず育てるべき」という考えを持つ人が増えてきました。
その点、海外に目を向けて見ると、子育てを取り巻く環境は日本とは大きく違っています。
たとえばインドでは、「自分も人に迷惑をかけるのだから、人からかけられる迷惑も受け入れるべき」という考え方が浸透しています。子どもの振る舞いにいちいち目くじらを立てることがありません。
他人に迷惑をかけることが当たり前と思える社会かどうかが、子育てのしやすさに大きく関わっているといえるでしょう。
余裕のなさから子育てママに矛先が向く
なかには、日々の生活で精神的に追い詰められた結果、他人を攻撃することでストレスを発散している人もいます。「誰かを攻撃してスッキリしたい」という欲求を抱える人にとって、子育てママはこの上ない理想的なターゲットとなり得ます
その理由として、まず子ども自体が大声を出したり走り回ったりと、非を見出しやすい存在である点が挙げられるでしょう。
たとえ声高に子育てママを非難したとしても、子どもを守ることを第一とするママに反撃される可能性は極めて低く、リスクはほとんどありません。
子育てママにとっては理不尽なことではありますが、これもストレス社会の一面といえるでしょう。
横暴な態度をとるママがいる
「子連れが迷惑がられる」と言うと、つい周囲の無理解にすべての原因があると考えてしまいがちですが、必ずしもそうとは限りません。
ママ側に明らかな非がある主なシチュエーションの参考例を、以下に挙げていきましょう。
・「子どものすることだから」と、子どもが何をしても対処しない
・子どもが他人に迷惑をかけても、保護者として謝ろうとしない
・席を譲ってもらうなど、子連れに対する周囲の親切を当然と捉えている
・ベビーカーで並んで歩き、通行の妨げになる
こうした行為の根底に見え隠れする「子連れだからいいだろう」という考えこそ、「これだから子連れは」と周囲を不快にさせる大きな原因となっているのです。
ママのなかにも子ども嫌いがいる
意外に思われるかもしれませんが、子ども嫌いの人は、現在進行形で子育てをしているママのなかにも存在します。詳しい特徴を、タイプ別に確認していきましょう。
他人の子どもが苦手なタイプ
子ども嫌いのママのなかでも特に多く見られるのが、「自分の子ども以外は苦手」というタイプです。同じ泣き声やワガママも、自分の子どもであれば許せるのに、他人の子どもの場合は煩わしく感じてしまう…それがこのタイプのママの特徴です。
このタイプのママは、「ある日突然、自分の子ども以外を受け入れられなくなった」というわけではありません。むしろ、「基本的に子どもは苦手だが、自分の子どもだけは愛せる」という場合がほとんどでしょう。
本心では他人の子どもをかわいいと思えなかったとしても、うまく取り繕うことで問題なくやり過ごせるタイプです。
自分の子どもを愛せないタイプ
子ども嫌いのママのなかでも、深刻な問題を抱えやすいのがこのタイプです。「母親は子どもを愛して当然」という考えが主流の世の中で、子どもを愛せないママは、「母親としてダメなのでは…」という自責の念に苦しみます。
当然、母親の愛情を受けられない状況は、子どもにとってもよい環境ではありません。多くの場合、満たされない心を抱えて成長していくことになるでしょう。
自分の子どもを愛せないママの心理は、「育児の疲れ・ストレス」「子ども全般が嫌い」「接し方が分からない」など、人によって様々です。傍目には分からないものの、子どもを愛せない悩みを人知れず抱えているママは案外多いのかもしれません。
幼少期の家庭環境が原因の場合も
ママが「自分の子どもを愛せない」と感じる場合、ママ自身の生まれ育った環境に大きな問題が潜んでいることもあります。
たとえば、自身が子どものころに母親から十分に愛されてこなかったり、常に否定されたりしていた場合、「一般的な子どもの愛し方」が分かりません。
自分が抑圧された子ども時代を過ごしたぶん、天真爛漫に振る舞う我が子に対し「なんてワガママなんだろう」「私はこんな風ではなかった」と本能的に嫌悪や怒りを感じてしまうのです。
子連れ生活を少しでも快適にするために
子連れでの生活をストレスなく楽しむには、社会のルールを守るのはもちろんのこと、自分から周囲に気を配る姿勢が大切です。特に意識しておきたいポイントをチェックしていきましょう。
周囲への配慮が大切
社会に対し、「子連れを嫌わないでほしい」「温かく見守ってほしい」という気持ちがあるのなら、まずはママ自身が「子ども嫌いな人もいる」ことをしっかり理解することが大切です。
自分にとってはかわいい我が子でも、所構わず大声をあげたり走り回ったりしていれば、不快に思う人が出てくるのも無理はありません。
また、一部ではあるものの、ママのなかには子連れを免罪符に様々なマナー違反を繰り返す人も存在します。周囲に理解を求めるなら、まずは自身が日頃から誰に見られても恥ずかしくない振る舞いを心がけることが重要です。
特に公共交通機関では注意をはらう
公共交通機関は、特に子連れにまつわるトラブルが目立つ場です。子連れで快適に利用するのなら、普段以上に注意深く振る舞いましょう。
お礼やお詫びはしっかりと言う・子どもにも最低限のルールは守らせるなどの配慮ができていれば、子連れであるというだけで白い目で見られたり、理不尽な目に遭ったりといった機会はグッと減るはずです。
安心して公共交通機関を利用するためにも、細やかな配慮を忘れないよう心がけましょう。
子連れにやさしいサービスを活用しよう
世の中には、子連れでも安心して利用できるように考案されたサービスが多数存在しています。
子ども向けの内装が施された電車の車両をはじめ、キッズスペースや小さな子どもの食事に必要なアイテムを揃えた飲食店など、「子連れ歓迎」「子連れOK」をうたう施設も年々増加傾向です。
こうした施設を上手に利用することで、必要以上に周囲の目を気にすることなく母子ともにリラックスした時間が過ごせるでしょう。
ただし、「子連れ歓迎」「子連れOK」という表示は、子連れだから何をしてもよいという意味ではありません。利用者がマナーを守って利用することで、より一層子連れに嬉しいサービスが増えていくでしょう。
まとめ
「人に迷惑をかけてはいけない」という意識の強い日本は、子ども嫌いが多く、子育てのしにくい国だと考えている人も多いでしょう。
子ども嫌いの人が実際に嫌っているのは、子どもの振る舞いそのものよりもそれを放置している親ということが少なくありません。
快適に子連れでの生活を楽しみたいと願うのであれば、まずは親である自分自身が周囲に恥じない振る舞いをするよう心がけることが大切です。最低限のルールやマナーを守りつつ、今しかない子どもとの時間を楽しみましょう。