幼児の英語教育はいつから?
「子どもには早めに英語教育を受けさせたほうがよい」とよくいわれますが、あまりに早すぎると子どもが英語に対して苦手意識をもつ可能性があります。幼児期は英語を学習させることよりも「楽しいもの」と認識させることが大切です。
まずは日本語の土台を作ることが必要
日本語をきちんと話せない幼児のうちから英語を習わせると「ダブル・リミテッド」という問題が起きるおそれがあります。ダブル・リミテッドは、2か国語を話せるもののどちらの言語も年齢相当の言語能力に到達しないという状態です。
幼児の場合、母国語を十分に習得しないうちに外国語を習うことで、両方の理解が不十分になってしまう可能性があります。
日本語で「おはよう」という言葉の意味を覚える前に、英語の「Hello」を覚えても意味を理解することは難しいでしょう。仮に、日本語を覚えていれば、英語の意味や使うシーンも理解しやすくなります。
英語を覚えさせる前に、まずは「日本語の土台を作る」ことが大切です。基本的な日本語を理解できるようになってから、英語の学習に移行しても遅くはありません。
子どもが興味をもち始めてからでOK
「早く学べば学ぶほどたくさんのことが身につく」と考え、子どもに無理やり英語を習わせることはおすすめしません。子どもは自分から「面白そう」と感じたことは、するすると吸収していきます。
しかし、興味のないことを強制されると「つまらない」と認識してしまいがちです。無理やりスクールに通わせてしまうと、最悪の場合「英語嫌いな子」に育つ可能性もあります。
最初は面白がって参加したとしても、単語だけを覚えたりくり返し英語を聞いたりするだけのような「単調な教育」は飽きるのもあっという間です。
学習は、コツコツと積み上げなければ身につきません。子どもが興味を示さないうちは、無理やり習わせることは控えることが賢明です。
歌で楽しみながら英語耳に
幼児期に英語を耳にしていると、英語を「聞く能力」が育ちます。幼児は聞いた言葉を「真似する」特性のもち主です。たとえば、親が「ママだよ」というと、意味はわからなくても「ママ」と真似することはできます。
英語の歌詞の歌を聞いていると、意味はわからなくとも口ずさめるのも同じことです。歌や言葉遊びと一緒に英語に触れさせることで「英語耳」を育てましょう。歌のようなリズムがあるものは耳で覚えやすく、言葉を学習するきっかけになります。
1~2歳までは日常的に英語を聞かせることから始めましょう。3~4歳ごろは、絵本を読んだり歌ったりと英語に触れあう機会をつくります。
4~6歳ごろには言語を習得する力が育つため、英会話教室に習うことを検討し始めてもよい時期です。
小学生になったら
小学生になると日本語の土台もできており、英語を学ぶ余裕や力もあります。しかし、ただ知識を詰め込むような学習では、本質的な英語力は身につきません。小学生が英語を学ぶときは、どのようなことを意識するとよいのでしょうか?
4技能をバランスよく学ぼう
ママたち世代の英語の授業は「受験のための英語」学習がメインだったかもしれません。習うのは「Reading(リーディング)」と「Writing(ライディング)」の2技能になりがちでした。
「Listening(リスニング)」に関しては、CDを通したテスト対策用の学習のみの人も多いでしょう。しかし、本来は、受験のための英語だけではなく「コミュニケーションのための英語」を学ぶことが重要です。
世界中の行き来が自由な現代では、なんとなく英語が読めて話せればよいのではなく「国際社会で通じる英語力」を身につけることが求められます。
ReadingとWritingにあわせて、Listening(リスニング)と「Speaking(スピーキング)」の4技能をバランスよく学ばせましょう。
抵抗がないうちに本を読む習慣づくりを
本を読む習慣がないまま育つと、読書に対して「大変なもの」というイメージがついてしまいがちです。言葉がわからないのはもちろん、読んでも理解できない歯がゆさも苦手意識の一因でしょう。
日本語で書かれた本を読むことに抵抗があると、母語ではない英語の文章を読むことにはさらにハードルが高くなります。
文字を読むことへの抵抗がないうちに、読書習慣をつけることが大切です。物語を読むことで登場人物の心情やストーリーの展開を想像する力が身につき、読解力もはぐくまれます。
読書に対して抵抗がなければ、英語に興味をもったときに英語で書かれた本を読むことにも挑戦できるでしょう。
子どもになじみがある絵本や物語の本のなかには、英語版のものも豊富です。近年では、見開きの片方のページに日本語、もう片方のページに英語で書かれた本などもあります。
英会話教室ってどんなところ?選び方は?
英会話教室に通うと「日常会話としての英語」に触れあえます。コミュニケーションをとりながら英語を学ぶことで、1人で学習するよりも実践的で「楽しい」と感じやすい点も魅力です。
英会話教室を選ぶときは「教室や先生の雰囲気」や「目標にあう授業を受けられるかどうか」に注目してみましょう。
先生や教室の雰囲気をチェック
英語を習いたての子どもにとって、ネイティブの講師とのやり取りは緊張感が生まれてしまうことがあります。親がよいと思う教室を見つけても、子どもに通う気がなければ続きません。
ネイティブの英語に触れることは英語学習にとって大切なことですが、習いたてのうちは「楽しめる雰囲気」のほうが重要です。子どもが楽しんで通えそうな明るい雰囲気の教室や先生を選ぶとよいでしょう。
また、教材にキャラクターが使われていたり、カラフルで目を引くものだったりすると子どもは興味を示しやすくなります。
目標にあった授業が受けられるか
「通えば覚えるだろうと近所の英会話教室に通わせたものの、なんとなく通っていただけで英語が身についていなかった」というケースは珍しくありません。
英会話教室を選ぶときは、目標にあった授業を受けられるかどうかを確認することも、ポイントのひとつです。
英語を習わせる目標が「英会話ができるようになること」であれば、一般的な英会話ができることを目的としている教室がよいでしょう。
中学受験に向けているのであれば「日本英語検定Jr.」や「JET(ジュニアイングリッシュテスト)」など、小学生向けの英語資格取得を目標としている教室が向いています。
さらに、目標を達成するために子どもの進捗度にあわせた教え方をしてくれるかどうか、フォロー制度なども確認しておくことが賢明です。
月謝のほかに教材費などの費用がかかる
英会話教室に通うときは、かかる費用もチェックしておきましょう。月ごとの「レッスン料」は、子どもの年齢や一緒に学ぶ人数、先生が日本人か外国人かなどで変わってきます。
幼児クラスの場合は、週1回・40~60分の授業のレッスン料となっていることが多いでしょう。ほかの子どもと一緒のグループレッスンのほうが比較的安価で、マンツーマンで授業を受けられる個別レッスンのほうが高めに設定されています。
教科書やスクールバッグなどの「教材費」は、年間で1~3万円くらいが相場です。教室によっては、数万円する教材を一括で購入するところもあるでしょう。勉強する内容によって、必要となる教材も異なります。
「入学金」も必要です。数千円~数万円まで教室によって違いますが、時期によっては半額や全額無料キャンペーンが実施されています。「web申し込み限定割引」や「友だちの紹介」など、適用条件は様々です。
学べる場所は英会話教室だけじゃない
英語を学ぶ場所といえば英会話教室が一般的でしたが、近年では違った形の英語学習の場所があります。
楽しみながら学びたい子どもにおすすめの「ホビングリッシュ」と、自宅にいながら英語を学べる「オンライン英会話」を紹介します
新しい英語の学び方 ホビングリッシュ
ホビングリッシュは「趣味(ホビー)」と「(英語(イングリッシュ)」をあわせた、新しい英語の学び方です。
サッカーや野球などのスポーツ・お絵描きや粘土細工などのアート・体を動かしながら楽しむダンスなど、子どもたちが夢中になれる趣味と一緒に英語を学べます。
英語と一緒に体を動かす趣味を楽しむことで、体力やコミュニケーション能力、自己表現力なども育てられるでしょう。
「自分の気持ちを言葉にしたい」と思ったときに英語を使えば、実践的な力が身につきます。趣味を楽しみながら学べることで、英語に対する苦手意識をもちにくいこともメリットです。
手軽に始めるならオンライン英会話
小さな子どもが英会話教室に通うためには、送り迎えは必須です。忙しいママのなかには、送り迎えの時間を確保することが難しい人もいるでしょう。
オンライン英会話であれば、パソコンやスマートフォンさえあれば自宅でレッスンを受けることが可能です。授業のタイミングが固定の英会話教室と違い、好きなタイミングで授業を受けられます。
英会話教室と比べると、月謝が安価なことも魅力です。安いところであれば月数千円でレッスンを受けられます。基本的にはマンツーマン授業のため、会話をするように授業を楽しめるでしょう。
もちろん、習熟度にあわせて一緒に歌を歌ったり講師が示した絵カードを見て単語を覚えたりなど、基本的なところから教えてもらえます。
まとめ
英語を学ばせることで、子どもの世界はぐっと広がるでしょう。しかし、無理やりに学習させようとすると、広がるはずの世界を閉ざしてしまう可能性があります。
大切なのは「子ども自身が興味をもつこと」です。楽しそうな雰囲気の英会話教室や教材を見つけることで、子どもが興味をもつためのサポートをしてあげましょう。