●しなくていいこと6カ条
「子どもも大人も、全ての人間は一人ひとりまるで違う。当たり前のことだけど、普段はついつい忘れてしまうものですよね。たくさんのママたちの声を聞いていくと、自分のキャパシティ以上に、がんばろうとしている人がたくさんいます。真面目であることは悪いことではありませんが、無理を重ねてしまうと、心も身体も関係性も、崩れていってしまいます」(小竹氏)
小竹さんと小笠原さんは、保育園に勤務した経験はもちろん、これまでの活動を通してたくさんの家族に出会ってきたそう。そうして行き着いたのが、ママたちに「そこ、もっと手を抜いたほうがいいことがありますよ」を届けるために「○○しない」という形でこの本を作ったという。
では、その6カ条とはなんだろうか?
【6つのしなくていいこと】
1. 子どもに全てを教えない
2. 「してあげなきゃ」リストを作らない
3. 生活リズムに縛られない
4. いつも笑顔じゃなくていい
5. 子どもを100%愛そうとしなくていい
6. 子育てに軸はいらない
●無理してやらなくても大丈夫
小竹さんと小笠原さんは「いい親になろう」とがんばるあまり、ついやりすぎてしまうことを、ここではあえてしなくていいと言っている。
“子どもに全てを教えない”と言っても、もちろん全ての事柄に関して“教えない”を推奨しているわけではない。でも教えなくても子どもたちは枠を超えた使い方をし、遊びを生み出し、自分で答えを出せるようになる。まずは「教える」を一度手放してみて欲しいという。
「子どもの内側から湧いてくる探究心や行動は、素晴らしいんです。たくさんの“してあげなきゃ”リストを抱えてしまう人が今のママは多く、気がつくと自分のキャパシティ以上の“やるべきこと”を生み出していたりします。それでは子育てってなんだかつらくなってしまいますよね。情報があふれすぎている現代のママたちならではの“しんどさ”だと思います」(小笠原氏)
また「子どもを100%愛そうとしなくていい」。…というのも、大人もそれぞれ違いがあるのだから、それぞれの愛し方があって当たり前。今日も子どもとただただ、一緒に過ごすということが愛情あふれる行為と伝えている。
●ブレちゃう親だっていいんです!
具体的にはどんなことだろうか?
「『13時からお昼寝させないといけないから帰るね』とかルール通りに生活しようと必死になるママがいますが、大人でも体調やスケジュール次第では、3食きっちり食べられない日もあるかもしれない。もちろん毎日1食というのは心配ですが、たまには食事ができないタイミングがあっても十分許容範囲だと思います。私たちが主宰している“おやこ保育園”では、お昼ご飯だって個人の自由。手作りのお弁当は愛情の深さを示すものではありません。ただ子どもの話を聞くのだって愛情なんです」(小笠原氏)
最近の親からはよくこんなことを質問されるという。
「よく、私は軸がブレちゃうんですと言われます。”ブレる””揺れる”ってネガティブに捉える方が多いのですが、私たちは悪いことだと思っていません。“決めたことだから”と言って、いい意見も取り入れられなくなったら苦しくなってしまいます。決めたことを軸として固定してしまうより、いいな、と思えたら、他の考え方も柔軟に取り入れられる方が、楽チンですよね。日々ブレたり揺れたりしながら、その時に合う選択をしていけると良いですよね」(小竹氏)
親になったから! と思ってガチガチに頑張ってしまっているママは、この春どこか一つ手を抜いてみてはいかがだろうか?
(取材・文/谷亜ヒロコ)
お話をうかがった人
合同会社こどもみらい探求社共同代表。保育士をする傍ら、家族の多様性を学ぶため、世界の家々を巡る一人旅を重ねる。 砂漠の民とアマゾン川の原住民の暮らしに大きなヒントを得て、2006年より”違いこそがギフト”と発信する活動を開始する。 幼稚園、こども園、保育園に勤務後、自分らしい保育士の形をみつけようと決意し2012年に独立。 人のもつ凸凹を大切にしながら、日々の変化を楽しみに暮らしている。
小笠原舞(右)
合同会社こどもみらい探求社共同代表。幼少期に、ハンデを持った友人と出会ったことから、 福祉の道へ。大学時代にボランティアでこどもたちと出会い、彼らの持つ力と創り出す世界に魅了される。 20歳で独学にて保育士国家資格を取得し、社会人経験を経て保育現場へ。 こどもたちの声を大切にできる社会を目指し、既存の枠にとらわれず、新しい仕掛けを生み出しながら過ごしている。
小竹・小笠原の共著として、2016年12月には、子育て本「いい親よりも大切なこと 〜子どものために“しなくていいこと"こんなにあった!!〜」を、 2017年1月には写真集「70センチの目線」を出版。
合同会社こどもみらい探求社共同代表。保育士をする傍ら、家族の多様性を学ぶため、世界の家々を巡る一人旅を重ねる。 砂漠の民とアマゾン川の原住民の暮らしに大きなヒントを得て、2006年より”違いこそがギフト”と発信する活動を開始する。 幼稚園、こども園、保育園に勤務後、自分らしい保育士の形をみつけようと決意し2012年に独立。 人のもつ凸凹を大切にしながら、日々の変化を楽しみに暮らしている。
小笠原舞(右)
合同会社こどもみらい探求社共同代表。幼少期に、ハンデを持った友人と出会ったことから、 福祉の道へ。大学時代にボランティアでこどもたちと出会い、彼らの持つ力と創り出す世界に魅了される。 20歳で独学にて保育士国家資格を取得し、社会人経験を経て保育現場へ。 こどもたちの声を大切にできる社会を目指し、既存の枠にとらわれず、新しい仕掛けを生み出しながら過ごしている。
小竹・小笠原の共著として、2016年12月には、子育て本「いい親よりも大切なこと 〜子どものために“しなくていいこと"こんなにあった!!〜」を、 2017年1月には写真集「70センチの目線」を出版。