●子どもの遊びを止めない理由
“子どもの遊びを止めないで!”の理由は2つあるという。まず1つ目は、子どもの遊びを「くだらない」と思って止めないでということ。どういうことだろう?
「意外にも子どもに関わることに慣れた人に多いのですが、外出時に、子どもがお店に置いてあるおしぼりをいじって、せっかく自分なりに面白さを味わっているのに『ほら、こっちにおもちゃがあるわよ』と、既製品のおもちゃを出して『はい、どうぞ!』とおしぼりを取り上げてしまう。自分が一生懸命何かをしている時に、他人が突然入ってきて、違うことを勧めるのは、誰だって不快でしょう。遊びのすり替えをしないで、もしどうしてもやめて欲しい時は理由を伝えてあげてくださいね」(小笠原氏)
大人が思っている「遊びとはこうしたもの」という思い込みを捨てることも必要なのだ。
さて、もう2つ目の「子どもの遊びを止めないで」の理由とは?
「子どもは急に止まれないので『はい終わり!寝るよ』と言っても、なかなか気持ちを切り替えることが出来ません。年齢や性格にもよるのですが、遊びをやめさせたい時は『今からブロック? すぐご飯の時間だよ。ご飯ができたらやめられるかな?』と前もってやりとりしておきましょう。そうすれば『さっき言ったよね』と言うと、小さい子どもでも比較的納得します」(小竹氏)
●子どもがいちばん悲しい遊びの終わらせ方
大人がよくやりがちなのは、なかなか子どもが止めないのに頭にきて、全部片付けてしまうこと。こうすると子どもはどう思うだろうか?
「子どもにしてみれば“やりきった”という達成感を得られないままリセットしてしまうので、度重なると、途中で投げ出すということが染み付いてしまいます。それは大人になったら困りますよね。私たちが保育園に勤めている頃よく使ったのは、出来上がったものを写真に撮るという方法です。『写真も撮れたから片づけようか』というと、満足そうに片付け始めることができました」(小笠原氏)
ちなみに0・1・2歳の子どもは、まだ時間の感覚や記憶力がまだ備わってないので、遊びをリセットされても気にしない場合も多いという。
●ゲームの終わらせ方とは?
小学生が夢中になりがちなゲームはどうだろうか? テレビゲーム、携帯ゲームにハマって、やめてくれず困っているママも多いと思うが、どうやって対応したらいいだろうか?
「達成感を味わせるという意味で、もちろんゲームも立派な遊びの1つであると言えます。しかしここで注意したいのは、ゲームには、思わず人が熱中しすぎてしまう魔法のような特性がある、ということ。その意味では、他の遊びより、”やめどき” が難しい。ソフトの内容によって育める力も様々にある一方で、大人がゴールを決め、綿密に作り込んであるので、子ども自身の力による遊びの広がりは比較的少なく、視力の低下などのリスクも持ち合わせています。子どもに手渡す際には、それらを踏まえた上で、他の玩具より多くの約束ごとが必要になるかもしれません。約束事は、子どもの年齢や性格が様々なので、直接こどもと話し合いながら決めるのがオススメです。ゲーム事態が【悪い/良い】ではなく、その親子なりに、どう付き合うか…そこにきちんと向き合うことが大切です」(小竹氏)
子どもの遊びをただ単に止めるだけではなく、いろいろなやり方で試して、どうしたらいいのか思い巡らせることが大切なのかもしれない。
(取材・文/谷亜ヒロコ)
お話をうかがった人
合同会社こどもみらい探求社共同代表。保育士をする傍ら、家族の多様性を学ぶため、世界の家々を巡る一人旅を重ねる。 砂漠の民とアマゾン川の原住民の暮らしに大きなヒントを得て、2006年より”違いこそがギフト”と発信する活動を開始する。 幼稚園、こども園、保育園に勤務後、自分らしい保育士の形をみつけようと決意し2012年に独立。 人のもつ凸凹を大切にしながら、日々の変化を楽しみに暮らしている。
小笠原舞(右)
合同会社こどもみらい探求社共同代表。幼少期に、ハンデを持った友人と出会ったことから、 福祉の道へ。大学時代にボランティアでこどもたちと出会い、彼らの持つ力と創り出す世界に魅了される。 20歳で独学にて保育士国家資格を取得し、社会人経験を経て保育現場へ。 こどもたちの声を大切にできる社会を目指し、既存の枠にとらわれず、新しい仕掛けを生み出しながら過ごしている。
小竹・小笠原の共著として、2016年12月には、子育て本「いい親よりも大切なこと 〜子どものために“しなくていいこと"こんなにあった!!〜」を、 2017年1月には写真集「70センチの目線」を出版。
合同会社こどもみらい探求社共同代表。保育士をする傍ら、家族の多様性を学ぶため、世界の家々を巡る一人旅を重ねる。 砂漠の民とアマゾン川の原住民の暮らしに大きなヒントを得て、2006年より”違いこそがギフト”と発信する活動を開始する。 幼稚園、こども園、保育園に勤務後、自分らしい保育士の形をみつけようと決意し2012年に独立。 人のもつ凸凹を大切にしながら、日々の変化を楽しみに暮らしている。
小笠原舞(右)
合同会社こどもみらい探求社共同代表。幼少期に、ハンデを持った友人と出会ったことから、 福祉の道へ。大学時代にボランティアでこどもたちと出会い、彼らの持つ力と創り出す世界に魅了される。 20歳で独学にて保育士国家資格を取得し、社会人経験を経て保育現場へ。 こどもたちの声を大切にできる社会を目指し、既存の枠にとらわれず、新しい仕掛けを生み出しながら過ごしている。
小竹・小笠原の共著として、2016年12月には、子育て本「いい親よりも大切なこと 〜子どものために“しなくていいこと"こんなにあった!!〜」を、 2017年1月には写真集「70センチの目線」を出版。