保育士起業家が教える! 実は重要な“遊びの終わらせ方”

第2回 いい親よりも大切なこと
「子どもが遊びを止めてくれない」と悩むママは、一度子どもの遊びを止めるのをやめてみてはどうだろうか?
こんな大胆な提案をしているのは、口コミで話題になっている「おやこ保育園」を主宰したり、今話題の悩めるママに向けての書籍やイベントを開催する保育士起業家である小竹めぐみさんと小笠原舞さんだ。保育園に勤めた経験から、子どもたちと遊びとの関わり方について話を聞いた。

●子どもの遊びを止めない理由

“子どもの遊びを止めないで!”の理由は2つあるという。まず1つ目は、子どもの遊びを「くだらない」と思って止めないでということ。どういうことだろう?

「意外にも子どもに関わることに慣れた人に多いのですが、外出時に、子どもがお店に置いてあるおしぼりをいじって、せっかく自分なりに面白さを味わっているのに『ほら、こっちにおもちゃがあるわよ』と、既製品のおもちゃを出して『はい、どうぞ!』とおしぼりを取り上げてしまう。自分が一生懸命何かをしている時に、他人が突然入ってきて、違うことを勧めるのは、誰だって不快でしょう。遊びのすり替えをしないで、もしどうしてもやめて欲しい時は理由を伝えてあげてくださいね」(小笠原氏)

大人が思っている「遊びとはこうしたもの」という思い込みを捨てることも必要なのだ。
さて、もう2つ目の「子どもの遊びを止めないで」の理由とは?

「子どもは急に止まれないので『はい終わり!寝るよ』と言っても、なかなか気持ちを切り替えることが出来ません。年齢や性格にもよるのですが、遊びをやめさせたい時は『今からブロック? すぐご飯の時間だよ。ご飯ができたらやめられるかな?』と前もってやりとりしておきましょう。そうすれば『さっき言ったよね』と言うと、小さい子どもでも比較的納得します」(小竹氏)

子どもの遊び

●子どもがいちばん悲しい遊びの終わらせ方

大人がよくやりがちなのは、なかなか子どもが止めないのに頭にきて、全部片付けてしまうこと。こうすると子どもはどう思うだろうか?

「子どもにしてみれば“やりきった”という達成感を得られないままリセットしてしまうので、度重なると、途中で投げ出すということが染み付いてしまいます。それは大人になったら困りますよね。私たちが保育園に勤めている頃よく使ったのは、出来上がったものを写真に撮るという方法です。『写真も撮れたから片づけようか』というと、満足そうに片付け始めることができました」(小笠原氏)

ちなみに0・1・2歳の子どもは、まだ時間の感覚や記憶力がまだ備わってないので、遊びをリセットされても気にしない場合も多いという。

●ゲームの終わらせ方とは?

小学生が夢中になりがちなゲームはどうだろうか? テレビゲーム、携帯ゲームにハマって、やめてくれず困っているママも多いと思うが、どうやって対応したらいいだろうか?

「達成感を味わせるという意味で、もちろんゲームも立派な遊びの1つであると言えます。しかしここで注意したいのは、ゲームには、思わず人が熱中しすぎてしまう魔法のような特性がある、ということ。その意味では、他の遊びより、”やめどき” が難しい。ソフトの内容によって育める力も様々にある一方で、大人がゴールを決め、綿密に作り込んであるので、子ども自身の力による遊びの広がりは比較的少なく、視力の低下などのリスクも持ち合わせています。子どもに手渡す際には、それらを踏まえた上で、他の玩具より多くの約束ごとが必要になるかもしれません。約束事は、子どもの年齢や性格が様々なので、直接こどもと話し合いながら決めるのがオススメです。ゲーム事態が【悪い/良い】ではなく、その親子なりに、どう付き合うか…そこにきちんと向き合うことが大切です」(小竹氏)

子どもの遊びをただ単に止めるだけではなく、いろいろなやり方で試して、どうしたらいいのか思い巡らせることが大切なのかもしれない。

(取材・文/谷亜ヒロコ)

お話をうかがった人

小竹めぐみ 小笠原舞
小竹めぐみ 小笠原舞
こどもみらい探求社
小竹めぐみ(左)
合同会社こどもみらい探求社共同代表。保育士をする傍ら、家族の多様性を学ぶため、世界の家々を巡る一人旅を重ねる。 砂漠の民とアマゾン川の原住民の暮らしに大きなヒントを得て、2006年より”違いこそがギフト”と発信する活動を開始する。 幼稚園、こども園、保育園に勤務後、自分らしい保育士の形をみつけようと決意し2012年に独立。 人のもつ凸凹を大切にしながら、日々の変化を楽しみに暮らしている。

小笠原舞(右)
合同会社こどもみらい探求社共同代表。幼少期に、ハンデを持った友人と出会ったことから、 福祉の道へ。大学時代にボランティアでこどもたちと出会い、彼らの持つ力と創り出す世界に魅了される。 20歳で独学にて保育士国家資格を取得し、社会人経験を経て保育現場へ。 こどもたちの声を大切にできる社会を目指し、既存の枠にとらわれず、新しい仕掛けを生み出しながら過ごしている。
小竹・小笠原の共著として、2016年12月には、子育て本「いい親よりも大切なこと 〜子どものために“しなくていいこと"こんなにあった!!〜」を、 2017年1月には写真集「70センチの目線」を出版。
小竹めぐみ(左)
合同会社こどもみらい探求社共同代表。保育士をする傍ら、家族の多様性を学ぶため、世界の家々を巡る一人旅を重ねる。 砂漠の民とアマゾン川の原住民の暮らしに大きなヒントを得て、2006年より”違いこそがギフト”と発信する活動を開始する。 幼稚園、こども園、保育園に勤務後、自分らしい保育士の形をみつけようと決意し2012年に独立。 人のもつ凸凹を大切にしながら、日々の変化を楽しみに暮らしている。

小笠原舞(右)
合同会社こどもみらい探求社共同代表。幼少期に、ハンデを持った友人と出会ったことから、 福祉の道へ。大学時代にボランティアでこどもたちと出会い、彼らの持つ力と創り出す世界に魅了される。 20歳で独学にて保育士国家資格を取得し、社会人経験を経て保育現場へ。 こどもたちの声を大切にできる社会を目指し、既存の枠にとらわれず、新しい仕掛けを生み出しながら過ごしている。
小竹・小笠原の共著として、2016年12月には、子育て本「いい親よりも大切なこと 〜子どものために“しなくていいこと"こんなにあった!!〜」を、 2017年1月には写真集「70センチの目線」を出版。