不動産投資による「不労所得」の税金は?
不動産投資は、現物の不動産を購入して賃料などを得る方法と、証券化された「REIT(不動産投資信託)」といわれる投資信託を購入する方法があります。このうちREITの場合は、前項の有価証券同様の課税になります。
現物の不動産を購入して賃料を得た収益の場合は、総収入から経費を差し引いた不動産所得に対して課税されることになります。一方で不動産所得に対しては、最終的に他の所得と合算されたうえで、収入が増えれば課税される税率も増える「累進課税」という制度がとられています。
例えば、年収500万円の人が、不動産投資によって月の収入を20万円得るようになれば、年間の収入は合わせて740万円になります。
ここで年収からは、給与所得控除や基礎控除、さらに配偶者や扶養する子どもなどがいれば配偶者控除・扶養控除等の各種控除が引かれた金額を、不動産投資では、借入金の利息や火災保険などの損害保険料や減価償却費などを経費として、収入からそれぞれ差し引くことができます。
また、同様のケースにおいて、上記の人が独身でその他の控除もない場合は、社会保険料率が15%とすると、給与所得は(500万円-144万(※1)-48万円(※2)-75万円(※3)=)233万円となります。また、不動産投資による収入240万円のうち経費が100万円であれば、不動産所得は140万円となります。
すると給与所得の233万円と不動産所得140万円を合わせた373万円に課税されることとなるので、所得税は(373万円×20%-42万7500円=)31万8500円、住民税は〔(238万円(※4)+140万円)×10%+5000円=〕38万3000円となります。
(※1)給与所得控除
(※2)所得税の基礎控除
(※3)社会保険料
(※4)住民税の給与所得281万円-住民税の基礎控除43万円=238万円
まとめ
「不労所得」を得るには、いくつかの方法があります。「不労所得」に対する課税は、その方法によって種類が変わってきます。
株式投資など有価証券での「不労所得」では源泉分離課税され、利益の20.315%に課税されることになり、不動産所得では他の所得と合算された額に課税されることになります。
また、有価証券投資の配当金や売却益などの「不労所得」はNISAの対象になる可能性もあり、非課税で受け取ることも考えられます。ただし、毎月分配型投資信託はNISA対象外となったため、利益分には課税されるようになります。
出典
国税庁 No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー
配信: ファイナンシャルフィールド
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