子どもが日常生活の中で金銭感覚を養うコツ

第2回 子どもの「マネー教育」って、どんなもの?
子どもが将来、お金に振り回されることなく、金銭的にも精神的にも自立した大人になるためには、金銭感覚をきちんと持つことが大切。

では、日常生活の中で金銭感覚を養うためにはどうしたら? NPO法人マネー・スプラウト代表で、ファイナンシャルプランナーの羽田野博子さんは言う。

「幼児になると、『あれ買って、これ買って』といったおねだりが始まります。でも、そのときの親の気分や金額で判断すると、子どもはルールがわからず、戸惑ってしまうもの。そこで、子どもにもわかるルールを決めましょう。『今日は100円』などと金額を決めて、自分で選ばせるのがオススメです」(羽田野さん 以下同)

例えば、もらった100円でガチャガチャが1回できるとする。しかし、200円のガチャガチャをやりたいなら、「今日ガマンすれば次来たときにできるよ」と教えてあげる。すると、「100円の価値」がわかることで、ほかのものでも「ガチャガチャ〇個分」などと価値を考えるようになるそう。ちなみに、「1個」などの個数でなく、金額で区切ることが大切だ。

スーパーで買い物をする親子

●スーパーの買い物では「子どもに任せるリスト」を

日頃のスーパーなどでの買い物では、お手伝いの実感がわくよう、欲しいものをカゴに入れさせるのではなく、子どもに専用のカゴを持たせて「子どもに任せるリスト」をつくると良いそう。

「まずは『〇円以内でおやつをひとつ選んできて』といったところから始め、少し大きくなったら、『このお金で、〇日分のおやつを好きに買って良いよ』などと話し、考えさせます。さらに慣れてきたら、店の入り口でお金を渡して、ひとりでおつかいに行ってもらいましょう。最初は1品から、徐々に数を増やします」

また、家族でお出かけするときには自分のお財布を持たせ、「今日のおこづかい」としてお金を渡す。すると、自分のお財布からお金を払うことで、「使ったらなくなる」ことがわかるし、自分で使い方を考えるようになるため、行った先々での「のどかわいた、ジュース飲みたい」「アイス食べたい」「お土産買いたい」というおねだりがなくなるとか。

ところで、気をつけたいのは、「一度ルールを作ったら、パパもママもそれを守るようにすること」だ。大泣きされて面倒くさくなり、買ってあげてしまった…なんて経験をしたことのあるママもけっこういるのでは?

「100円くらいのものなら、買ったほうが親はラクですし、子どもの喜ぶ姿はうれしいものですよね。でも、自分の欲しいものを自分で買う→お金がなくなる→なくなったらもう買えないという体験を繰り返すことが大切なのです」

また、一度お金を渡したら、そのお金で何を買っても口出ししないこと。「そんなものが欲しいの?」などと言うと、子どもの個性が枯れてしまうからと羽田野さんは言う。

「あれ買って、これ買って」が始まったら、お金の使い方を楽しく学ばせるチャンス。すぐに買ってあげてしまうのではなく、子どものために、「100円でお買い物」などをゲーム感覚で始めてみては?
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

羽田野博子
羽田野博子
NPO法人マネー・スプラウト代表 ファイナンシャルプランナー(FP)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。
FPとしての相談を受ける中で、金銭管理能力は子どものころからのお金の体験が影響することを実感し、2005年に金銭教育啓もう活動のNPO法人「マネー・スプラウト」を設立。
FPとしての相談を受ける中で、金銭管理能力は子どものころからのお金の体験が影響することを実感し、2005年に金銭教育啓もう活動のNPO法人「マネー・スプラウト」を設立。