「上の子をかわいくないと感じるのは一時的かもしれません。しかし、もともと上の子と下の子では、親は区別しているつもりがなくとも、差が出てくるもの。それは自然なことであり、公平性に欠けるわけではありません」
こう話すのは、「きょうだい型人間学」の第一人者で、国際基督教大学社会心理学教授、心理学・言語学デパートメント長の磯崎三喜年先生。
そもそも自分自身の心理状態によって、昨日と今日でも違うし、理由もなくイライラするときだってある。
また、親子のやりとりや、子同士のやりとりの中で、「上の子」「下の子」という生まれ育った環境の違いがそれぞれの子の特徴につながってくるのだという。
●上の子と下の子には、親が区別しなくても違いが生まれる
「上の子に対しては親の期待が大きいため、責任感が強く、面倒見が良い子になり、しっかりした子になることが多い。さらに、学力も学歴も高いというデータがあります。一方、下の子は、上の子を見て育つため、融通がきく、要領が良いなどの特徴を持ちやすい。さらに、免疫力や抵抗力も強い傾向にあり、スポーツなどで力を発揮するケースが多いのです」(磯崎先生 以下同)
上の子は親の期待を受けて、下の子の面倒を見るなど、それなりに頑張ることが多い。ただし、下の子に母親の注意が向いていると思うと、意地悪をしたり、ヤキモチを焼いたりすることはどうしてもある。
「母親は特に上の子に対する期待が大きい分、上の子がすることには過剰に反応する傾向があります。下の子が悪さをしてもあまり気にしないのに、上の子には厳しく注意するのは、そのためです」
下の子が生まれたことで、母親の思いが「赤ちゃん」として保護したい思いとは違う「期待」に変わってくる「上の子」。でも、上の子としては、幼いうちには母親にまだ甘えたい、下の子と同じように「赤ちゃん」として扱ってほしいという思いもあるかもしれない。
だからこそ、上の子が頑張ってくれたときなどには「さすがお兄ちゃん!」「やっぱりお姉ちゃんはすごいね!」と認めてあげること。
それが上手くかみ合ってくるようになると、「上の子かわいくない」のイライラ感から自然に抜け出し、「上の子頼もしい」「上の子はさすが」といった信頼関係に変わってくるかも。
(田幸和歌子+ノオト)