でも、実は乳幼児~小学生などの幼い子どもについて、「うちの子、髪が薄い」と悩んでいるママは多く、ネット上にも同様の声が多数ある。
確かに、乳幼児期に周囲の子と比べて「なんであんなに髪が多いの?」と驚いたり、髪の長さ・多さから「もっと年齢が上の子かと思った!」と思ったりすることはときどきある。
もちろん赤ちゃんの頃に髪が薄くても、徐々に多く太くなってくるパターンは少なくない。では、何歳くらいまでの薄毛なら気にしなくて良いの? 横浜労災病院皮膚科の齊藤典充先生に聞いた。
「髪には『毛周期』といって、2~6年くらい伸びると抜けて、いったんお休みし、また生えてくる生え変わりのサイクルがあります。赤ちゃんの場合、生まれるときに髪が生えていますが、これはお腹の中にいるときからのもので、1歳前後で一度リセットされます。なかには、派手に薄くなる子もいますが、だんだん生えてきますので、気にする必要はありません」(齊藤先生 以下同)
子どもの毛はもともと細く、頼りないもの。それが1~2歳を過ぎた頃から、毛周期がしっかりしてくる。伸び続ける毛と、抜ける毛、成長を休む毛などがバランスよくみられるようになれば毛のボリュームも一定になってくる。
●子どもの頃の髪の量・質は大人の薄毛と関係なし
では、幼少期の髪の多さ・少なさや、髪質は、大人になっても影響するのだろうか。
「そもそもお子さんの薄毛と、中年男性の薄毛とは、仕組みが違います。中年男性の薄毛の場合、男性ホルモンの働きで太く成長するはずの毛が産毛で止まってしまうのが原因です。お父さんやおじいちゃんの髪が薄いからといって、必ずしも子や孫が薄くなるわけではありません。生まれたときの髪の薄さや髪質は後に変化しますので、気にしなくて大丈夫ですよ」
ただし、一部には病気による薄毛もあるそう。注意が必要なのは、どんなケースなのか。
「髪が伸びていれば問題ないですが、なかには全然伸びない子もいます。例えば、激しい縮れ毛の場合。普通のクセ毛とは違い、先天的なチリチリの縮れ毛の場合は遺伝病ですので、治すことができません」
子どもの髪の細さや少なさは、2歳くらいになるとたいてい解消するそう。
髪の多さ・少なさや、髪質にはもちろん個人差があるものの、髪がちゃんと伸びていれば心配無用。もし、いつまで経っても伸びないと思う場合には、皮膚科医を受診してみた方が良いかも。
(田幸和歌子+ノオト)