黄砂の対策
黄砂やPM2.5がいつ飛来するかはニュースなどでの予報のほか、気象庁の黄砂情報ページやSPRINTARSのPM2.5予測・黄砂予測で確認することができます。
黄砂やPM2.5が飛来することが予想される場合、外出時には花粉症と同じようにマスクをして黄砂を吸い込むのを防ぐことが有効ですが、花粉の粒子が約30μmなのに対し、黄砂は約4μm、PM2.5は2.5μmとかなり粒子が小さくなるためマスクを選ぶ必要があります。マスクのパッケージにPFE(微粒子ろ過効率)99%と明記されているものを選ぶようにしましょう。
ただし、全国マスク工業会が行うPFE試験では、0.1μmの粒子を99%カットできるかを検査されているのですが、この検査は口をおおう部分のフィルター素材に対して行われます。そのため、マスクと顔の隙間からの侵入は考えられていませんので、顔にあったサイズや形のマスクを選び、なるべく鼻の両脇やあご、頬に隙間ができないように着用しましょう。このように気をつけて着用したとしても、ある程度の隙間はできてしまうため、完全に防ぐものではなく吸い込む量を少なくするものと覚えておきましょう。
また、室内では換気は最小限にとどめましょう。空気清浄機を使うことも有効で、多くの空気清浄機に使われているHEPAフィルターは0.3μmの粒子をカットすることができます。
掃除をするのもよい方法ですが、掃除機を使う場合には注意が必要です。1つ目は掃除機のフィルターによっては、吸い込んだ粒子がすり抜けてしまうこと、2つ目は掃除機の排気口が床にあると粒子が舞い上がってしまうことです。掃除をするときにマスクし、フローリングワイパーなどで水拭きをするのがおすすめです。
このように、たくさんの問題をおこす黄砂ですが、時にはよい影響をおこすこともあります。黄砂は運ばれる間に海にもたくさん落ちているのですが、黄砂に含まれる鉄分が海中のプランクトンの栄養となり、プランクトンが多く発生することで多くの魚が育ち、海が豊かになることが分かっています。
農地の過剰な耕作や開拓、過剰な放牧、森林伐採により、今後黄砂の量が増えることが予測され、実際の被害も大きくなっていることから、日中韓での共同研究を始めとした国際協力がされるようになっています。
自然を守りながら、はるか昔からある黄砂とうまくつきあっていくことの重要性が、国際的にも理解され始めているのです。
参考資料
日本学術会議 農学委員会 風送大気物質問題分科会
報告 黄砂・越境大気汚染物質の地球規模循環の解明とその影響対策
環境省 黄砂とその健康影響について
資料1:黄砂とその健康影響について
資料2:黄砂の健康影響の解明に向けた環境省関連の研究成果
環境省 微小粒子状物質(PM2.5)に関するよくある質問(Q & A)
環境省 黄砂問題検討会報告書(平成17年9月)
2.4.黄砂の記録・被害
広島大学 【研究成果】黄砂が海の生態系を育むって本当? ~海水中の石英粒子から海洋への黄砂沈着フラックスを推定~
配信: moshimo ストック