しかしいざ相談しようと思っても「こんな些細な相談では相手にされないかも」「ママ友や身内に相談していることを知られたくない」という躊躇があり、なかなか実行に移せない人もいるかもしれない。
●「勧誘がしつこくて困る」という相談でも構わない
そんな気持ちについて、国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所である「日本司法支援センター(通称:法テラス)」の村山勇輔弁護士はこう話す。
「例えば『ママ友からしつこく勧誘されて困っている』といった、契約や支払をする前の相談でも、躊躇しないほうが良いと思います。専門機関への相談は早ければ早いほうが良いです。いくら『クーリング・オフ』といった消費者の利益を保護する制度があるとはいえ、実際に契約や支払をしてしまったら、お金が確実に戻ってくる保障はありません」(村山さん 以下同)
また、「こんなことで相談してよいかわからない」「相談していることを知られたくない」という心配については、次のように話す。
「お困りの内容が法律に関するものかどうかわからない場合でも、悩む前にまず法テラス・サポートダイヤルやお近くの法テラスにお電話ください。ホームページからはメールによるお問合せも受け付けています。解決に役立つ法制度や適切な相談窓口のご紹介を行っています。最初の情報提供では、お名前は伺いませんし、お話しいただいた内容についても秘密は厳守します」
●気になる弁護士費用の相場は?
ちなみに、法テラス・サポートダイヤルは通話料のみで利用可能であり、問い合わせ内容により問題解決の糸口となる情報を案内してくれる。また、収入や資産が一定以下であるなどの条件を満たす場合には、必要に応じて、無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替えを行う法テラスの制度を利用することもできる。
「費用の一例として、法テラスの制度を利用して弁護士に依頼した場合、借金で債権者10社までの自己破産申立を行うケースだと、着手金が12万9600円で実費は2万3000円程度が標準的です。そのほか、過払い金の回収があった場合は別途報酬金が発生します」
法テラスが立て替えた費用については、原則毎月1万円もしくは5000円ずつの分割で法テラスに返済することになる。
●弁護士に依頼する前に解決を! まずは相談することが重要
弁護士や司法書士に依頼する費用は決して安い金額とはいえない。やはり一番はそうなる前に問題を解決するか、断りにくい勧誘があっても強い意志をもって突っぱねる気持ちが必要だろう。
「悪質商法被害の相談でよく聞くのは『よくわからないけどサインしてしまった』というお話。やはり大前提としてよくわからないままサインするのは危険です」
ちなみに、消費者庁が実施した「平成26年版消費者白書」の調査結果によると、過去1年間に購入した商品や利用したサービスについて何らかの被害・トラブルを受けた経験がある人が「相談しなかった」と答えた割合は53.6%と半数以上(男女)。その理由として多かったのは「相談しても仕方がないと思った」(55.8%)だという。
「契約書や約款を見ても複雑でわかりにくいことが多いですよね。ですから、もし困ったら専門家に相談しましょう。 “相談する習慣”をつけることが自衛の第一歩だと思います」
「相談しても仕方がない」と自分自身で決めず、まずは専門家に相談しよう。
(高山惠+ノオト)