スキルス胃がんの治療方法
ここまでスキルス胃がんの特徴などを解説しました。
以下ではスキルス胃がんの主な治療方法を紹介します。
手術療法
スキルス胃がんの手術療法は、がんが胃に留まっている場合に適用されます。方法には腹腔鏡手術、開腹手術、ロボット支援下腹腔鏡手術などがあります。
・腹腔鏡手術:腹部に小さな穴を開けて内視鏡を挿入し、腔内をモニターに映し出しながら手術を行います。切除した臓器は穴から摘出します。身体への負担が少ない低侵襲(ていしんしゅう)の手術のため、回復が早いのが特徴です。
・開腹手術:腹壁を切開して行う手術です。直接患部を見れるため、精度が高いとされています。しかし、傷口が大きくなりやすく、回復に時間がかかります。
・ロボット支援下腹腔鏡下手術:内視鏡手術に分類される低侵襲手術です。ロボットによる繊細な手術が期待できるメリットがあり、患者さんの負担が少ないとされています。
化学療法
スキルス胃がんの治療には、点滴や飲み薬で抗がん剤を投与し、がん細胞をなるべく縮小させる方法があります。
抗がん剤の副作用として、アレルギー反応や吐き気、手足のしびれ、口内炎、肝機能障害や腎障害、心機能障害などが起こる可能性があります。
スキルス胃がんを検査する際、お腹の中を生理食塩水で洗い、回収した液を顕微鏡で調べる腹腔洗浄細胞診が行われます。
腹膜播種がなく、腹腔洗浄細胞診陰性の場合は、まず胃を切除し、術後に化学療法が行われます。陽性の場合は、胃を切除して術後に化学療法を行う方法、初めに化学療法を行い、その後に胃を切除する方法、化学療法のみを行うという3つの方法があります
既に腹膜播種がある場合は、胃を切除せずに、化学療法が行われます。
放射線療法
スキルス胃がんの治療には放射線療法が補助的に用いられます。
放射線療法は、術前や術後に放射線を照射し、切除率を上げたり残存病変を縮小させたりする目的で行われます。
また、進行・再発した場合に、がんの増大による食事困難などの症状を緩和するためにも使用されます。
胃がんでは放射線療法の効果は限定的であり、胃周囲の臓器が放射線に弱いため、主に補助治療として用いられます。
スキルス胃がんをステージ4まで放置しないために
スキルス胃がんは初期症状が乏しく進行が速いため、早期発見が難しいとされるがんです。そのため、胃内視鏡検査や腹部CT検査など、複数の検査を組み合わせることが重要です。
胃内視鏡検査では胃壁の硬化や粘膜のひだの肥厚、膨らみの悪さなどを確認できる場合があります。
ほかにも、ピロリ菌の除菌や定期的な検査が予防につながります。
胃がんは50歳以降に罹患しやすいとされていますが、なかでもスキルス胃がんは20~40代位の若い世代でも罹りやすいとされるため、注意が必要です。
配信: Medical DOC