子宮頸がんの治療方法
ここからはステージに合わせた治療方法を解説していきます。
ステージ1の治療方法
ステージ1の治療方法は子宮頸部円錐切除術です。
電気メス・超音波凝固装置などで切除します。1A期であっても、将来の妊娠・出産希望がない方へは子宮摘出術が推奨されています。
では、ここでステージについて簡単に解説しましょう。ステージはがんの進行期のことで、がんの大きさ・粘膜内のがん侵入度・リンパ節転移や肺などの遠隔臓器への転移の有無などにより分類されます。
ステージは1〜4までありますが、詳しい内容はそれぞれの項目で解説します。ステージ1はがんが子宮頸部のみに認められ、ほかに広がっていない状態です。
がんの進行段階によって、A期・B期に分類されます。このA期・B期はさらに細かく以下のとおりに分けられます。
1A1期:周囲の組織への侵入深さが3mm以下
1A2期:周囲の組織への侵入深さが5mm以下
1B1期:腫瘍が2cm以下
1B2期:腫瘍が2~4cm以下
1B3期:腫瘍が4cmを超えるもの
子宮頸がんは進行しやすく危険な病気です。どれだけ小さいがん細胞や腫瘍であっても摘出することが求められます。また、1B期に該当する場合には放射線治療も選択肢の1つです。
ステージ2の治療方法
ステージ2の治療方法は放射線治療や開腹手術です。ステージ2の分類内容は以下のとおりです。
2A1期:腟壁に4cm以内
2A1期:腟壁に4cm以上
2B期:子宮頸部の周囲の組織に腫瘍が拡大・骨盤壁までに達していないもの
2A期は子宮頸部の周囲の組織へは広がっていないものが前提で、開腹手術には広汎(こうはん)子宮全摘術が適用されます。しかし、広汎(こうはん)子宮全摘術の合併症として排尿障害が起こる可能性もあります。
合併症を極力軽くするため神経温存術式が取り入れられますが、腫瘍が大きい場合や子宮周囲へがんが進行している場合には神経温存術式は適応されません。
子宮周囲へがんが進行している場合には、放射線治療と抗がん剤治療を同時に行う治療方法が推奨されます。
ステージ3の治療方法
ステージ3の治療方法は同時化学放射線療法(CCRT)です。ステージ3の分類内容は以下のとおりです。
3A期:腫瘍は下方部分の1/3に達するが、骨盤壁にまでは達していないもの
3B期:腫瘍が骨盤壁にまで達しているもの・水腎症や腎臓が無機能となったもの
3C1期:腫瘍が骨盤リンパ節にのみ転移が認められるもの
3C2期:腫瘍が傍大動脈リンパ節に転移が認めらえるもの
同時化学放射線療法は約2ヵ月かけて行われるのが一般的です。
ステージ4の治療方法
ステージ4の治療方法は同時化学放射線療法(CCRT)や抗がん剤による化学療法です。ステージ4の分類内容は以下のとおりです。
4A期:膀胱粘膜または直腸粘膜へ腫瘍が進行しているもの
4B期:小骨盤腔を超えるもの
4B期の場合には、原則的に抗がん剤による化学療法が適用されます。
子宮頸がんが再発した場合の症状・治療方法
子宮頸がんの再発率は円錐切除術後の切除断端陽性例で9〜16%、切除断端陰性例では2〜4%です。
再発してしまった場合の症状・治療方法を解説していきましょう。
再発時の症状
子宮頸がんが再発したときの症状は、以下のとおりです。
骨盤内・腰・背中の痛み
下肢の痛み
不正出血
おりもの増加
下肢のむくみ
上記の症状が急に現れたり、複数の症状が重なっていたりする場合には注意が必要です。
気になる症状がある場合は、早めに受診しましょう。
再発時の治療方法
子宮頸がんが再発した場所により、治療方法は異なります。前回の子宮頸がん治療で放射線を当てた部位に再発した場合は、薬物療法が一般的です。
同じ部位に手術や放射線治療をすると合併症の発症リスクが高くなります。しかし、薬物療法では子宮頸がんの治療効果があまり期待できません。
対症療法にはなりますが、痛みを和らげる治療も検討されます。放射線を当てていない部位に再発した場合は、放射線治療や同時化学放射線療法(CCRT)が検討されます。
ほかにも骨盤内に再発した場合は、直腸や膀胱などを摘出する骨盤除臓術・細胞障害性抗がん薬・分子標的薬などの薬物療法が適用されることもあります。
配信: Medical DOC