マルファン症候群の前兆や初期症状について
マルファン症候群の前兆や初期症状は多岐にわたりますが、主に骨格系、心血管系、視覚系に関連する症状が多く見られます。特に心血管系で大動脈瘤や大動脈解離を合併する可能性が高く、突然死につながるためこれらの症状を早期に発見することは、生命予後に直結します。
骨格系の症状
骨格系の症状としては、長い手足や指、身長の異常な高さ、脊柱側弯症(脊椎が左右に曲がる)などがあります。また、胸骨の中央部がへこむ漏斗胸や胸骨が突出する鳩胸になることもあります。これらの特徴は、成長期で現れ、身体がアンバランスに成長する可能性が高いです。
心血管系の症状
心血管系の症状には、大動脈瘤(大動脈の一部が異常に膨らむ)や大動脈解離(大動脈の壁が裂ける)があります。また、心臓弁の異常により血流の逆流や動脈の拡張が起こり、心疾患を引き起こしやすいです。これらの症状は生命を脅かす可能性があるため、定期的な検査と早期の治療が必要です。
これらの症状がみられた場合、 複数の専門科が関与し、循環器内科、心臓血管外科、整形外科、眼科、呼吸器科、小児科、遺伝科などを受診して適切な検査・治療を受けることをおすすめします。
視覚系症状
視覚系症状には、緑内障、白内障、水晶体の偏位(異常な位置にずれる)、網膜剥離などが挙げられます。これらの症状は視力に大きな影響を及ぼすため、早期の眼科的診断と治療が重要となってきます。
マルファン症候群の検査・診断
マルファン症候群の診断は、臨床的な評価と遺伝子検査を組み合わせて行われます。マルファン症候群は遺伝性疾患であるため患者さんの家族歴や症状の詳細を問診で聴取するのが大切です。次に、身体検査で骨格系、心血管系、眼の異常をチェックします。
骨格系の検査は、手足の長さや胸骨の形状、脊柱の側弯具合などの評価です。心血管系の異常は、エコー検査やMRIが用いられ、大動脈や心臓弁の状態を詳しく調べます。眼科的な検査では、視力検査や眼底検査が行われ、水晶体の偏位や網膜の状態を確認します。
遺伝子検査は、FBN1遺伝子の変異を確認するための検査です。遺伝子検査の結果は、臨床的な診断を裏付けるものであり、他の家族の診断や遺伝カウンセリングに役立ちます。
診断基準としては、Ghent基準が広く用いられます。これは、主要な臓器系の症状と家族歴の結果を総合的に評価するものであり、正確な診断を下すために重要です。
配信: Medical DOC