水頭症の前兆や初期症状について
水頭症の初期症状は、年齢や病状の進行具合によって変わります。それぞれ順番に分けてご紹介します。
新生児や乳児
頭囲の急激な拡大が最も顕著な症状です。頭蓋の縫合が閉じていないため(頭蓋が柔らかいため)髄液の圧が上昇すると頭全体が大きくなります。症状としては、異常な眠気や食欲不振、嘔吐、けいれんなどが見られます。
幼児や学齢期
頭痛や嘔吐、視力低下、平衡感覚の喪失が初期症状として現れます。そのほかに学校での学習障害や行動の変化も見られることがあります。このような症状は、脳圧の上昇によって引き起こされるため、早期の診断と治療が必要です。
成人
初期症状は頭痛や嘔吐、視力障害、二重視などが見られます。ほかにも認知機能の低下や記憶障害、歩行困難なども一般的な症状です。これらの症状は、ゆっくりと進行することが多く、他の疾患と誤診されることがあります。
高齢者
初期症状は、正常圧水頭症として知られる特有の症候群で現れます。正常圧水頭症は、歩行障害、認知症状、尿失禁の三大症状が特徴です。歩行障害は、歩行が不安定で小刻みな歩き方になり、認知症状はゆっくりとした思考や記憶力の低下が見られます。突然の尿失禁や頻尿も特徴の1つです。
これらの症状がみられた場合、 神経内科、脳神経外科などを受診して適切な検査・治療を受けることをおすすめします。
水頭症の検査・診断
水頭症の診断は、臨床症状の評価と画像診断を組み合わせて行われます。最初に医師は患者さんの症状や病歴を詳しく聞き取り、身体検査を行います。特に、頭囲の測定や神経心理学的検査(HDS-R、MMSEなど)が重要です。
次に、画像診断としては、頭部超音波検査、コンピュータ断層撮影(CTスキャン)、磁気共鳴画像(MRI)などが使用されます。頭部超音波検査は、新生児や乳児の頭蓋骨がまだ柔らかい時に有効であり、脳室の拡大を確認することができます。CTスキャンやMRIは、脳内の詳細な構造を可視化し、脳室の拡大や脳脊髄液の流れを確認するのに役立ちます。
さらに、脳脊髄液の圧力を測定するために、腰椎穿刺(ルンバールパンクチャー)を行うことがあります。この検査では、脳脊髄液を採取して圧力を測定し、感染や出血の有無を確認します。正常圧水頭症が疑われる場合には、脳脊髄液の排出テスト(タップテスト)や外部ドレナージ試験を行い、症状の改善を確認することがあります。
配信: Medical DOC