こうした要望に対し、「女児のおむつ替えは女性保育士が行い、その経緯を保護者に帰る際に報告する」など、保護者から誤解されないように先回りして対応しているところもあるようだ。男性保育士自身はどのように感じているのか。男性保育士の先駆者として知られるしらこばと幼稚園の菊地政隆先生に聞いた。
「私が保育士をしていた時は、男性の保育士存在自体が珍しく、こういった指摘されることもありませんでした。また、私が園長を務める当園では、昨年まで男性が1年勤務していましたが、こうした要望はありませんでした。施設ごとに育児の質が変わるように、園によっても対応は異なります」(菊地先生 以下同)
●男性保育士を知るためにした方がいい対応は?
ママの中には、男性保育士の存在が珍しいために不安に覚えてしまう人もいる。そうした場合、ママはどうしたらいいのだろうか?
「園に預けている間の子どもの様子が分からないから、『もし、何かあったら』という想像が膨らんでしまうのではと思います。気になることがあれば、どんどん聞いていただけると、不安感が和らぐことはあるかと思います」
ただ、ママとしてはなかなか時間が取れないことも多い。これについては、保育士の力量が問われるのだとか。
「園内でどのような保育を行っているか、保護者に伝える技術が保育士には必要です。お迎えの時や保護者会の機会に、保育士が具体例を交えながら園でのお子さんの様子を伝えていけば、担当が男性保育士であっても安心して預けられると思いますよ」
菊池先生によると、男性保育士にも保護者からクレームを言われやすいタイプとまったく言われないタイプがいるとか。その判断基準は、保育士の印象だけだったりする。
「そもそも保育士とは国家資格を持つ保育の専門家です。保育士は子どもたちと遊ぶイメージが強いため、保育士の仕事を遊ぶことと勘違いしてしまうこともあると思います。もし保育士がなにか問題を起こしたとすれば、それは男女の違いが原因ではなく、その保育士自身の対応方法が問われるものだと思います」
つまりは、自分の子どもを担当する保育士がどういう人なのか、信頼関係の有無によるところが大きい。男女に限らず、担任の保育士がどんな人なのか、保護者側から話しかけて知るようにしていってもいいのかもしれない。
(ノオト+石水典子)