「脂肪腫」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「脂肪腫」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

監修医師:
坂本 好昭(医師)

慶應義塾大学医学部 卒業、同形成外科 入局。 フランスネッカー小児病院留学を経て2016年より慶應義塾大学医学部 形成外科 講師

脂肪腫の概要

脂肪腫は、皮下に発生する軟部組織の腫瘍の中では最も多くみられる良性の腫瘍(できもの)です。
好発部位は頚部、背部、臀部、上腕、大腿などですが、顔面や四肢末端、心臓、眼窩内、腸管など、脂肪組織の存在する部位にはどこにでも出現する良性腫瘍です。

脂肪腫には、皮下組織に見られる浅在性脂肪腫と、筋膜下、筋肉内、筋肉間に見られる深在性脂肪腫があります。皮下の脂肪腫は切除が容易です。
筋肉内脂肪腫は稀ですが、皮下の脂肪腫とは違い周りの筋肉内に浸み込むように浸潤します。そのために再発する場合があり、周囲の正常な筋肉を含めて切除する事があります。

普通は、成熟脂肪組織で構成される柔らかい単発性腫瘍ですが、稀に多発性することがあります。
脂肪腫自体は肉眼的には周囲との境界ははっきりとして、薄い被膜をかぶり、割面は淡黄ないし、橙黄色を示し、多脂性です。ある程度以上に大きいものは不規則な小葉構造をとります。

病理組織学的には成熟した脂肪細胞からなり、一見正常脂肪組織と区別がつきにくいですが、細胞は多少大きさ、形状に不同があり、正常よりやや大きいとされます。
薄い結合組織性の被膜があり、結合組織性の隔壁により小葉に分かれています。

脂肪腫の亜型には、

血管脂肪腫

血管筋脂肪腫

線維脂肪腫

骨髄脂肪腫

褐色脂肪腫

紡錘細胞脂肪腫

多形性脂肪腫

軟骨脂肪腫

などがあります。

血管筋脂肪腫は成熟脂肪細胞とともに血管成分が多く、最大径が1~2センチと小ぶりで、しばしば多発します。
紡錘形細胞脂肪腫/多型細胞脂肪腫は40-60代男性の項部や肩に多発する皮下腫瘍で、一般的な脂肪腫よりも硬い傾向にあります

脂肪腫の原因

脂肪腫の病因は不明ですが、いくつかの研究で遺伝的な関連が示されており、約3分の2の脂肪腫に遺伝的異常が見られます。
遺伝的な関連の可能性に加えて、特定の部位への外傷と脂肪腫に関連があると示唆されています。

研究によると、軟部組織に直接的な衝撃を受けた後の外傷後イベントとして脂肪腫の成長が関連しています。
上記のリスク要因に加え、肥満、アルコール、肝疾患、および耐糖能異常も脂肪腫の形成に繋がる可能性があるとされています。

発生時期は幼少時と考えられていますが、緩徐に発育するため発見は遅く、20歳以下には稀で、40~50歳代に多く見られます。
男女比は報告により一定しませんが、女性に多いとされ、また、肥満者に多いとも言われています。生下時より存在することもあります。

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