脂肪腫の治療
脂肪腫は良性腫瘍なので、徐々に大きくなりますが、放置しても命に関わることはありません。
しかし大きくなってから手術をすると、手術のリスクが高くなる、傷跡が大きくなる、もし悪性だった場合には治療の遅れが問題となる、などのリスクがあります。
したがって、ある程度の大きさになったものでは手術により摘出したほうが良いと思われます。摘出の目的は整容的な改善と病理組織学的診断です。
手術では腫瘍の直上を、ほぼ腫瘍の直径に一致するように切開し、被膜を破らないように周囲組織から剥がして、摘出します。摘出後は、血腫(血が溜まること)を予防するため十分に止血を行い、必要に応じてドレーンを挿入し、圧迫固定します。
巨大な脂肪腫では脂肪吸引法も適応となることもありますが一般的ではありません。
手術に関しては腫瘍の存在部位や大きさ、合併症のリスクなどを総合的に判断して局所麻酔や全身麻酔、日帰りや入院などを決めます。
例えば、癒着が強いことが疑われる後頚部や肩の腫瘤、大きい腫瘤、神経や血管が近くに走行している場合などは、全身麻酔下に入院で行うのが安全です。
小さく、皮膚の直下にあるものは局所麻酔で日帰り手術が適していると思われます。
腫瘍の部位や場所によっては術後の神経障害や摘出後の陥凹変形をきたすこともあります。
手術で摘出した検体は病理検査という細胞の検査に提出します。
脂肪腫になりやすい人・予防の方法
明確な原因は判明しておらず、遺伝性もあるとされています。
一方で、肥満の方や糖尿病、脂質異常症の方にできることが多いという報告もあります。
予防としてできることとしては、栄養バランスの取れた食事と定期的な運動を行うこと、肝臓に負担をかけるアルコールや脂肪の摂取を控えることなどがあげられます。
参考文献
日本形成外科学会 日本医科大学武蔵小杉病院
雑誌形成外科2019増刊vol.62
配信: Medical DOC
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