側弯症の治療
治療は症状の程度や進行具合に応じて異なります。
保存的治療
軽度の側弯症の場合は定期的な観察と
運動療法
が推奨されます。
進行が認められる場合には、ブレースと呼ばれる装具を使って背骨の曲がりを抑えます。
代表的なブレースには、ミルウォーキーブレースやボストンブレースがあります。
これらの装具は、日中および夜間の着用が求められ、定期的なチェックと調整が必要です。
装具治療の効果を最大限に引き出すためには、患者さんとその家族の協力が不可欠です。
ブレース治療の目的は、背骨の曲がりを進行させないことです。
特に成長期の子どもにとって、装具の着用は大きな負担となることがありますが、これを継続することで手術を避けることが可能となる場合があります。
運動療法も重要な治療の一環です。
専門の理学療法士による運動プログラムは、筋力を強化し、柔軟性を向上させることで側弯の進行を防ぐことができます。
患者さんのライフスタイルや症状に合わせた個別の運動プランが理想です。
手術治療
進行した場合には、手術を検討することになります。
手術では、金属棒やスクリューを使用して背骨をまっすぐに固定します。
成長期の子どもには、成長をサポートしながら背骨の曲がりを矯正する
成長ロッド
を使うことがあります。
手術後は、数日間の入院と数ヶ月にわたるリハビリテーションが必要です。
リハビリテーションには、姿勢の改善や筋力の強化を目的とした運動療法が含まれます。
治療計画は年齢、健康状態、生活環境を考慮して決定されます。
手術の成功には、術前の詳細な計画と全体的な健康状態の評価が不可欠です。
手術後の回復期間には、専門の医療チームによるサポートが重要です。
リハビリテーションは、手術の効果を最大限に引き出し、再発を防ぐために行われます。
また、手術後のフォローアップも重要です。
定期的な診察や画像検査を通じて、背骨の状態や治療効果を評価し、必要に応じて追加の治療や調整を行います。
側弯症になりやすい人・予防の方法
遺伝的要因の影響
家族に側弯症の既往がある場合、発症リスクが高くなります。
特に女の子に多く見られるため、早期のスクリーニングが推奨されます。
適切な姿勢の維持
成長期の子どもには、正しい姿勢を保つことが予防につながります。
日常的に意識的な努力が必要で、座るときには背筋を伸ばし、足を床にしっかりとつけること、立つときには重心を均等に保つことなどが推奨されます。
また、定期的な運動やバランスの良い食事も重要です。
学校の健康診断で早期に発見することが鍵となります。
良い姿勢を保つためのエクササイズやストレッチも効果があります。
長時間座っていることを避け、適度に身体を動かすことも大切です。
運動は、筋力を強化し、柔軟性を保つために役立ちます。
特に、背中や腰の筋肉を鍛えるエクササイズは、側弯症の予防に効果的です。
バランスの良い食事も、骨の健康を維持するために不可欠です。
カルシウムやビタミンDを豊富に含む食品を摂取し、骨密度を高めることが推奨されます。
参考文献
脊柱側弯症研究会, “脊柱側弯症の診断と治療ガイドライン”, 日本整形外科学会, 2020.
日本側彎症学会, “思春期特発性側弯症の治療指針”, 日本整形外科学会, 2019.
日本整形外科学会, “側弯症の最新研究”, 日本整形外科学会, 2022.
配信: Medical DOC
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