せん妄の前兆や初期症状について
せん妄の初期症状は多様で、特に発症初期は気付きにくい場合があります。
主な前兆や初期症状として以下のものが挙げられます。
注意力の低下
周囲の状況に対する注意が散漫になり、集中力が続かなくなります。
睡眠障害
昼夜逆転や不眠、過眠が見られることがあります。
これらの症状は、周囲の環境や状況に応じて変動することが特徴です。
認知機能の低下
短期記憶や見当識(時間や場所の認識)が障害されることがあります。
幻覚や妄想
現実には存在しない物や音が見えたり聞こえたりすることがあります。
情緒の変動
不安、恐怖、イライラ、抑うつなどの感情が急激に変化することがあります。
ほかに急に興奮したり、逆に無気力になる場合もあります。
また、注意力障害や認知機能障害は日内変動が大きく、夕方から夜間にかけて悪化することが特徴的と思われがちですが、注意力や活動性が極端に下がると非常に発見しにくく、医療者であっても見落としてしまう場合もあります。
せん妄の検査・診断
せん妄の診断には、詳細な病歴聴取と身体診察が不可欠です。
特に原因の治療が重要ですので、原因となる身体症状を改善する目的で、治療や検査が行われます。
せん妄の疑いがある場合、以下の検査が行われます。
病歴聴取
特に意識の変動、認知機能障害の有無、発症や経過が急性であることを中心に聴取します。
ほかに原因となる疾患がないか病歴や内服薬などを詳しく調べ、検討します。本人からの聴取が難しく、普段一緒に生活をしている家族からの意見が求められることもあります。
身体診察
痛みなどの身体症状の評価、原因疾患の有無を判断するために、病歴に応じた身体所見を追加で調べます。
神経学的検査
脳神経系の機能を評価するために、神経学的な検査を行います。
精神状態評価
認知機能、意識レベル、注意力、記憶力などを評価するために、標準化された精神状態評価スケール(例えば、3D-CAM(the 3-Minute Diagnostic Interview for Confusion Assessment Method)、4AT(4 A’s Test)など)を使用します。
血液検査や画像診断
貧血や感染症、代謝異常を特定するために、血液検査や画像診断(CT、MRIなど)を行うことがあります。
配信: Medical DOC