「せん妄」を発症しやすい人の特徴をご存知ですか? 原因・症状を医師が解説

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せん妄の治療

せん妄の治療は、原因の特定とその治療、および症状の管理が中心となります。
具体的な治療法は以下の通りです。

原因の治療

せん妄を引き起こしている基礎疾患や状態の治療が大変重要です。
感染症であれば抗生物質、代謝異常であれば適切な補正、原因となりうる薬剤の中止など、原因に対する治療を行います。

環境調整

特に入院中の患者さんでは昼夜のリズムを保ちやすくしたり、安心できる環境を整えることが重要です。
静かな環境を提供し、照明やカレンダー、時計を病室の見えるところに置くことで見当識を保つ手助けをします。
コロナ禍で難しくなってしまいましたが、家族や親しい人々との面会を促し、安心できる環境を作ることが有効です。
ほかにご家族の写真を病室に置くなども有効とされています。

薬物療法

必要に応じて、せん妄の症状を緩和するための薬物療法が行われます。
具体的には、せん妄予防に有効な睡眠薬や抗精神病薬が使用されることがあります。

非薬物的介入

認知療法、リハビリテーション、心理的支援などを通じて、患者さんの精神状態を安定させる努力が重要です。

せん妄になりやすい人・予防の方法

せん妄になりやすい人には、特定のリスク要因が存在します。
主なリスク要因は以下の通りです。

高齢者
加齢に伴う脳の脆弱性や多疾患併存が影響します。
認知症
既に認知機能が低下しているため、さらなる機能低下を引き起こしやすいです。
多剤服用者
特に精神科薬や鎮痛薬を複数使用している患者さんはリスクが高いです。
重篤な身体疾患
例えば、心疾患や呼吸器疾患、腎不全などの重篤な疾患を持つ人々です。
手術後
特に全身麻酔や大きな手術を受けた患者さん。

せん妄の予防には、以下の対策が有効です。

薬剤調整
薬物の適正使用を徹底し、特に高齢の患者さんでは代謝が低下していることで薬自体の効果が強くなることや、飲み合わせにより効き過ぎたり、効きにくくなるため、不要な薬物の使用を避けることが重要です。
ただし、自己判断での調整は危険性も伴いますので、必ず主治医に相談してください。

環境調整
患者さんが安心できる環境を提供し、場所や時間を把握しやすくするためのサポートを行います。
栄養管理
適切な栄養摂取と水分摂取を維持することが予防に役立ちます。
身体的活動
適度な運動や活動を促進し、筋力低下や身体機能の低下を防ぎます。
また、日中の運動は夜間の睡眠を促し、昼夜のリズムを整えることにも有効です。
早期介入
せん妄の前兆や初期症状が見られた場合、早期に介入し適切な対応を行うことが重要です。

参考文献

日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不 穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン

がん患者におけるせん妄ガイドライン2022年版第2版

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