ベーチェット病の治療
ベーチェット病の症状は多様であり個々の患者さん毎に治療内容も異なります。以下に症状毎の治療例を挙げます。
皮膚粘膜病変
口腔内潰瘍や皮膚病変・外陰潰瘍に対してはステロイドの外用薬やコルヒチンが治療の中心です。
コルヒチンは白血球、とくに好中球の働きを抑える内服薬です。
また、難治性の口腔内潰瘍を繰り返す方にはアプレミラストという内服薬が効果的です。
関節症状
関節症状に対しては消炎鎮痛剤・コルヒチン投与が行われます。関節症状が強いときには短期的にステロイドを用いることもあります。
眼症状
眼病変の発作時の治療の基本はステロイドの局所投与もしくは内服での全身投与です。
発作を繰り返さないためにコルヒチンやシクロスポリンという免疫抑制剤を使用します。
最近では難治例を中心にTNF阻害薬とよばれる炎症を起こす生理活性物質を抑える注射・点滴の薬剤が使用されています。
治療の進歩により失明する患者さんは減ってきました。
腸管病変
活動性の腸管病変では絶食や低脂肪食などで腸管の安静をはかることが重要です。
同時に腸の炎症を抑える5-ASA製剤やステロイドにより治療を行います。
疾患活動性が高ければ、免疫抑制剤やTNF阻害薬が投与されることもあります。
腸管の穿孔(穴が開くこと)・狭窄・大量出血などが起こった場合は手術が必要です。
血管病変
血管病変ではステロイドや免疫抑制剤が使用されます。
難治性の場合はTNF阻害薬が考慮されます。
動脈瘤が破裂した場合には緊急で手術が必要です。
一方、破裂していない動脈瘤の手術は縫い合わせた部分に動脈瘤の再発が起こりやすいことが知られています。
そのため、待機的な手術には慎重になることが多いようです。
血栓症に対しては抗凝固療法を行うことがあります。
神経症状
急激に進行する神経症状に対しては大量のステロイド療法が行われます。
シクロスポリンを使用している場合は中止が必要です。
慢性に進行する場合は免疫抑制剤が用いられ、治療に難渋する場合はTNF阻害薬も考慮されます。
ベーチェット病になりやすい人・予防の方法
人種と関係なく、白血球の血液型であるHLAが発症しやすさに関与していることがわかっています。
ベーチェット病に特に多いのはHLA-B51という型を持つ人です。
しかし、HLA-B51陽性の方全員がベーチェット病になるわけではありません。
日本においてはHLA-A26陽性の患者さんも多いことがわかっています。
現時点で確立された予防方法はありません。
ただし、口腔内の細菌が疾患の増悪と関連している可能性が示唆されているため、定期的な歯科受診で口腔衛生を保つことは重要です。
むし歯・歯周病・扁桃炎などの治療を行ってください。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci/34/5/34_5_408/_pdf/-char/ja
https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/behcet/
https://www.nanbyou.or.jp/entry/187
https://www.nanbyou.or.jp/entry/330
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/s2_q11.html
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/behcet-2.pdf
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/Behcet’s_disease_GL.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/54/9/54_3115/_pdf
https://www.nms-behcet.jp/patient/behcet/remedy.html
https://www.nms-behcet.jp/patient/behcet/care.html
https://www.nms-behcet.jp/patient/question/index.html
配信: Medical DOC
関連記事: