急性硬膜下血腫の治療
急性硬膜下血腫は、血腫の大きさや意識状態で治療方法が異なります。
出血量が少なく意識レベルも高い場合は、軽症でも入院して止血剤や血圧コントロールを行いながら経過観察を行います。硬膜下血腫は受傷から時間が経過したのちに出血量が増加したり意識レベルが低下したりと状態が変わることがあるからです。
急性硬膜下血腫は血腫が急速に拡大して脳を圧迫する場合が少なくないため、出血量が多い・意識レベルが低いなどの場合は緊急手術で血腫を除去します。
開頭血腫除去術
開頭血腫除去術は、全身麻酔で頭蓋骨を大きく外して血腫を除去する手術です。手術では、出血箇所の止血や脳の圧迫を取り除くことができ、脳のむくみも軽減できます。患者さんの容態により頭蓋骨の穴を小さく開ける小開頭手術もあります。ただし、頭部外傷の緊急手術では血腫の箇所を正確に把握する必要があるため、可能な限り頭蓋骨を開く開頭手術が必要です。そのため、急性硬膜下血腫の手術は開頭血腫除去術を行う医療機関がほとんどです。
外減圧術
頭蓋骨は、脳を衝撃から守るために硬く厚い骨で形成されています。そのため、頭蓋内に出血や脳腫瘍ができると脳が圧迫されます。開頭血種除去手術を行っても脳の圧力やむくみが治まらない場合に、圧力や腫れが引くまで、皮膚だけを縫合し頭蓋骨は外したままにするのが外減圧術です。外す期間は2週間から1ヵ月程かかることもありますが、外した頭蓋骨は冷凍庫に保管され脳の腫れが治まったのち形成手術でもとに戻されます。
ICPセンサー留置術
頭部外傷を負って意識状態が悪い場合は、脳の血流や圧力を一定に保つ必要があります。そのため、脳の圧力を直接測定できるICPセンサー装置を、開頭手術を行った際に一時的に脳に埋め込む手術がICPセンサー留置術です。
急性硬膜下血腫になりやすい人・予防の方法
急性硬膜下血腫は頭部外傷や怪我によるものが少なくありません。交通事故や転倒・転落などが原因で頭部外傷が引き起こされる確率が高くなります。
そのため、急性硬膜下血腫は予防で罹患するリスクは軽減されます。
急性硬膜下血腫になりやすい人
急性硬膜下血腫は予期せぬ外傷で起こるため幅広い年齢層で発症する病気です。子どもは遊びやスポーツで頭部に外傷を追うことがあります。高齢者は反射神経が鈍くなり転倒や転落のリスクが高くなりますが、頭部に外傷を負い急性硬膜下血腫になっていても気付かない場合もあります。若い年齢層では交通事故による頭部外傷が死亡原因になり、救命されても重度の後遺症が残ることも少なくありません。
急性硬膜下血腫の予防方法
急性硬膜下血腫の予防方法は頭部の損傷を予防すれば発症するリスクは軽減されます。自転車やバイクを運転する際は、ヘルメットを着用すれば事故に遭っても頭部の損傷を軽減できます。衝撃や接触が多数のスポーツは、プロテクターやヘルメットを積極的に着用しましょう。なお、高齢者や小さな子どもがいる家庭では、転倒予防策を講じたり生活環境の整備をしたりすれば頭部外傷のリスク要因を軽減できます。急性硬膜下血腫は高血圧や出血性疾患が要因となる場合もあるので、薬物療法や健康チェックでリスク管理を行いましょう。
参考文献
急性硬膜下血腫|社会福祉法人恩賜財団済生会
急性硬膜下血腫|KOMPAS慶応義塾大学病院医療・健康情報サイト
頭部外傷|東京女子医科大学附属足立医療センター
配信: Medical DOC
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