急性前骨髄球性白血病の検査と診断
急性前骨髄球性白血病の診断には、まず問診が始まります。
問診により体調不良や特定の症状が発見され、白血病の可能性が疑われる場合、骨髄液の採取が行われます。この検査により、異常な前骨髄球の増殖やAuer小体の存在が確認され、診断が確定します。
特に急性前骨髄球性白血病では、t(15;17)(q22;q12)の染色体異常(PML-RARA融合遺伝子)の存在が診断の重要な指標となります。
また、骨髄細胞の形態学的特徴や特定の遺伝子変異の検出も診断に寄与します。
これらの手法を組み合わせることで、急性前骨髄球性白血病の迅速で精密な診断につながります。
急性前骨髄球性白血病の治療について
急性前骨髄球性白血病は、治療法が確立されている白血病の一種です。
以下で、治療方法と治療期間について詳しく説明します。
治療方法
急性前骨髄球性白血病の治療は、まずビタミンの一種である全トランス型レチノイン酸(ATRA)を使用して白血病細胞を成熟した白血球に分化させる分化誘導療法が行われ、寛解を目指します。
さらに、亜ヒ酸を併用することで治療効果が向上するとされています。
寛解後には、地固め療法として化学療法が行われ、再発を防ぐための維持療法も行われます。
再発例や難治性の場合には、分子標的薬や抗体治療が有効とされており、場合によっては造血幹細胞移植も検討されます。
これにより、治療の選択肢が広がり、治療成績の向上につながっています。
治療期間
急性前骨髄球性白血病の各治療期間の目安は、以下のとおりです。
・寛解導入:入院から4週間程度
・寛解後の地固め療法:1回で約5週間の入院(3回程度行われます)
・維持療法:約1~2年間(1ヵ月に1、2回通院しながら抗がん剤治療を受けます)
全体で、7~9ヵ月程度の入院治療が必要です。治療の合間に外泊や短期退院が可能な場合もあります。
初期治療には全トランス型レチノイン酸(ATRA)を用いた分化誘導療法が行われ、白血病細胞を成熟した白血球に変化させます。
白血球数が少ない場合はATRA単独、それ以外では抗腫瘍薬を併用します。
寛解後は、播種性血管内凝固症候群の治療と並行して化学療法を2〜3コース行い、その後約2年間ATRAによる維持療法を続けます。
日本の治療成績は良好とされ、70歳未満の患者さんでは寛解導入率が約90%、10年無病生存率が約70%に達します。
再発した際には亜ヒ酸を用いた治療も行われます。
配信: Medical DOC