急性前骨髄球性白血病の予後
急性前骨髄球性白血病は、近年の治療進歩により予後が大幅に改善されました。
現在、急性前骨髄球性白血病の5年生存率は約90%に達し、かつては最も致死的な急性白血病の一つとされた病態が、治癒を目指せる疾患へと変わりました。
日本では、JALSG APL204プロトコールに基づき、白血球数に応じた寛解導入療法と地固め療法を実施し、低リスク群にはトレチノイン、高リスク群にはタミバロテンによる維持療法を約2年間行います。
一方、海外では低リスク群に対してATRAと三酸化ヒ素(ATO)の併用療法が行われ、維持療法を省略するケースが多いようです。
これらの治療法により、再発・難治性の症例を除き、急性前骨髄球性白血病の予後は大きく改善されたといえます。
急性前骨髄球性白血病についてよくある質問
ここまで急性前骨髄球性白血病を紹介しました。ここでは「急性前骨髄球性白血病」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
急性前骨髄球性白血病の原因を教えてください。
山本 佳奈(医師)
急性前骨髄球性白血病の原因は完全には解明されていませんが、15番染色体と17番染色体の相互転座によるPML/RARα融合遺伝子の形成が関与しています。この遺伝子は、白血球の正常な分化・成熟を阻害し、前骨髄球の異常な増殖を引き起こします。
また、他の悪性腫瘍に対する化学療法や放射線治療後、あるいはダウン症などの先天性疾患を持つ人々にも発症しやすとされています。
急性前骨髄球性白血病は珍しい病気ですか?
山本 佳奈(医師)
急性前骨髄球性白血病は珍しい病気です。米国では毎年約3,000例しか診断されていません。
急性前骨髄球性白血病の標準的な治療法は全トランス型レチノイン酸と亜ヒ酸の併用療法ですが、内出血や重度の腎障害などの副作用が生じることがあります。これらの合併症は分化症候群と呼ばれます。
急性前骨髄球性白血病はまれであるため、多くの腫瘍医がこの病気の患者さんを診る機会が少ないと考えられ、合併症の認識や治療に精通していない場合があります。
配信: Medical DOC