変形性股関節症の治療
変形性股関節症の治療は、症状の重症度や、各個人のニーズに応じて下記のようにさまざまな方法があります。
保存療法
保存療法では、股関節にかかる負荷を減らすための生活指導として、体重管理や適度な運動をとり入れます。
また、理学療法士の指導のもと、股関節周囲のストレッチや筋力トレーニングをおこない、痛みの減少や、関節の可動域の改善、筋力強化をおこないます。
薬物療法
鎮痛剤として、痛みや炎症を抑える目的として、アセトアミノフェンやNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの痛み止めの処方や、関節の動きを滑らかにする目的で、ヒアルロン酸やステロイドの関節内注射をおこないます。
手術療法
保存療法や薬物療法で効果が得られない場合は、手術療法が検討されます。
変形性股関節症に対する手術は主に下記の3つです。
関節鏡視下手術
小さな切開から関節内に内視鏡を挿入して損傷した軟骨や骨棘を除去する手術で、早い社会復帰が期待される手術です。
骨切り術
骨の一部を切り取り、関節の角度を変えることで、股関節への負荷を分散させる手術です。
若年者や活動性の高い患者さんに適しています。
人工股関節置換術
股関節全体を人工関節に置き換える手術で、痛みの原因になる部位を手術で取り除くため、変形性股関節症が進んだ時期でも疼痛の改善に大きな効果があります。
変形性股関節症になりやすい人・予防の方法
変形性股関節症は下記のように、特定のリスク要因を持つ人に多く見られる傾向です。
変形性股関節症になりやすい人
下記の内容に該当する人は変形性股関節症になりやすい傾向です。
高齢者
年齢が進むにつれて関節の軟骨がすり減りやすくなり、変形性股関節症のリスクが高まります。
女性
女性は男性に比べて変形性股関節症を発症しやすい傾向で、その数は男性の7倍ともいわれています。
先天的な股関節の問題
臼蓋形成不全など、先天的に股関節の構造などに問題がある場合は、変形性股関節症のリスクが高くなります。
肥満
体重が増えると股関節にかかる負担が大きくなり、軟骨がすり減りやすくなります。
外傷歴
過去に股関節の怪我や手術を受けたことがある場合は、月日の経過とともに変形性股関節症になるリスクが高くなります。
予防の方法
変形性股関節症の予防には、下記の方法が有効です。
適度な運動
ウォーキングなど股関節に負担が少ない運動をとり入れることで、股関節周囲の筋肉が強化され、関節をサポートします。
体重管理
体重を管理することで、股関節への負担を減らすことができます。
そのため、バランスの取れた食事と定期的な運動で体重を管理しましょう。
姿勢の改善
正しい姿勢を意識して保つことで、股関節にかかる負担を分散させることができます。
ストレッチ
定期的なストレッチを行うことで、関節の柔軟性を高め、股関節の動きをスムーズに保ちます。
変形性股関節症は、予防と早期発見が重要です。
定期的なチェックや適切な生活習慣を心がけることで、発症リスクを減らし、股関節の健康を保ちましょう。
参考文献
日本整形外科学会・日本股関節学会:変形性股関節症診療ガイドライン2016
日本整形外科学会:変形性股関節症
配信: Medical DOC
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