「鵞足炎」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

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鵞足炎(鵞足滑液包炎)の治療

鵞足炎の治療は、保存療法・薬物療法・理学療法があり、症状の重症度や患者さんの生活スタイルに応じて異なります。以下に各治療法と対象となる患者の症状を紹介します。

保存療法

軽度の鵞足炎では、安静やアイシング、湿布などの保存療法が行われます。運動を中止し、膝を安静に保つことで炎症を抑え、痛みを軽減します。また、運動後にはアイシングを行い、炎症を抑えることが必要です。

薬物療法

中等度の鵞足炎の場合には、薬物治療が行われます。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の投与が一般的で、これにより炎症を抑え、痛みを軽減します。また、ステロイド注射はNSAIDsより強い抗炎症作用があり、効果が早期に現れることが多いです。しかし、繰り返し投与すると感染のリスクが高まり、腱が切れることもあるため、注意が必要です。

理学療法

重度の鵞足炎の場合には、理学療法が必要となることがあります。理学療法では、膝や股関節周囲の筋肉を強化し、柔軟性を高めるためのトレーニングが行われます。殿筋や膝周囲筋を鍛え、下腿が外旋することを防ぐことが鵞足炎の予防策です。

鵞足炎(鵞足滑液包炎)になりやすい人・予防方法

鵞足炎になりやすい人は、特にスポーツをしている人です。ランニングやジャンプ動作、サッカーボールのキックなど、膝の屈伸を繰り返す運動を行うことで発症しやすくなります。また、膝が内側に入るニーインと呼ばれる姿勢や、X脚の人もリスクが高いです。さらに、中高年でも変形性膝関節症や内側半月板損傷などの既往がある場合も、鵞足炎の発症リスクが高まります。

鵞足炎の予防には、適切なトレーニング、最適なシューズやランニング環境の選択、膝関節・股関節周囲の筋力強化の3つが重要です。

適切なトレーニング

膝の内側に負担がかかる動作を改善し、適切な動作を習得するのが大切です。股関節周囲や膝関節周囲の筋肉を鍛えることで膝への負担を減らします。また、筋肉の柔軟性を保つためのストレッチや運動前後にはウォーミングアップとクールダウンを行い、特に大腿の前面・後面・内側の筋肉の柔軟性を維持します。

適切なシューズやランニング環境

適切なシューズの選択やランニング環境の改善も重要です。ランニングシューズを選ぶ際には、足の形やランニングフォームに合ったものを選ぶことが推奨されます。特に、膝が内側にぶれる動きを防ぐためには、インソールの使用やサポーターの活用がよいです。また、ランニングのトレーニングを行う際には、できるだけ柔らかい地面で膝への衝撃を減らしながら行いましょう。

膝関節・股関節周囲の筋力強化

膝関節・股関節周囲の筋肉を強化することで、膝の内側にかかる負担を軽減し、鵞足炎の発症リスクを低減することができます。また、内側ハムストリングス(半膜様筋と半腱様筋)と内転筋(薄筋)の強化により下腿が外旋することを防ぐことが鵞足炎の予防策となります。

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参考文献

内側型変形性膝関節症に合併した鵞足炎の発生機序

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