「ドライアイ」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「ドライアイ」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

監修医師:
柳 靖雄(医師)

東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)の概要

ドライアイの定義と診断基準は、1995年にドライアイ研究会により確立され、2006年と2016年に改訂されました。2006年改訂の定義では、自覚症状・涙液異常・角膜上皮障害の3つの項目が揃った場合にドライアイと診断されていました。しかし、2016年改訂では涙液層の不安定疾患であり、眼の不快感や視機能異常が生じる眼表面の障害を伴うことがあるとされています。
ドライアイの診断基準は、BUT(フルオレセイン染色による検査)が5秒以下であり、自覚症状が伴うことです。シルマーテストが5秒以下でもBUTが5秒を超えた場合には、ドライアイの症状があっても確定診断に至りません。ドライアイの病態は涙液層の不安定性だけではなく、角膜知覚異常のメカニズムが働いているとの考えもあり、ドライアイの症状の不明点はいまだ議論されています。
涙液が異常をきたす原因は、マイボーム腺※不全による油層成分の分泌量低下や、シェーグレン症候群による涙液分泌量の低下・分泌型ムチンの低下などです。そして、角結膜上皮表面にある膜結合型ムチンが上皮表面の乾燥に関与していることも考えられますが、いずれにしても涙液を安定させることが重要です。

※瞼の皮脂腺の一部

ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)の原因

涙液は主に油層と液層の2層で構成されています。

ドライアイは涙液の不足や涙液の質の低下で眼表面に涙が均一に行き渡らなくなる病気です。ドライアイには涙の分泌量が減少する量的異常と涙の成分の異常という2つのタイプがあります。

量的異常

ドライアイは涙液が減少して目が乾燥状態になる病気です。加齢・ストレス・空気の乾燥(冷暖房の空調)などは、涙液の蒸発を促すため目が乾燥した状態が長く続いて涙液量が減少します。夜型の生活・運動不足・食生活の変化などの生活環境もドライアイの要因です。パソコン・スマートフォン・テレビなどは現代社会では欠かせないものですが、画面を長時間見続けると瞬きが少なくなり目の潤いが減少します。涙の分泌量はリラックスした状態では増加し、ストレスや緊張で交感神経が優位になると涙液は減少し、安定した分泌量を維持できなくなります。

成分異常

成分異常とは脂質成分・たんぱく質成分の減少や角結膜上皮の異常が原因で眼表面に涙が留まらないため、5秒以内に表面が乾いてしまう状態のことです。アイメイクやコンタクトレンズの使用で目の表面が傷つく場合があります。角膜の手術や内科的疾患(シェーグレン症候群・スティーブンスジョンソン症候群など)がある人は、薬の副作用などで涙液の成分が変化してドライアイになることがあります。シェーグレン症候群は自己免疫疾患ですが、涙腺や唾液腺に乾燥症状を起こすためドライアイの原因疾患として取り上げられることが少なくありません。そして、スティーブンスジョンソン症候群は涙腺が破壊され涙がでなくなる原因となる疾患です。

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