だが、5歳を過ぎてもおねしょが続く場合は「夜尿症」と呼ばれる疾患になり、医師の診断を受けることが望ましい。この時、病院でどんな治療を行うのだろうか。夜尿症外来の専門医である吉田茂先生に聞いた。
●夜尿症を改善する具体的な治療法
「検査や問診を行い、医師に『夜尿症』と診断された場合、まずは就寝の2時間前には夕飯を済ませ、水分を摂らない、寝る前に必ずトイレに行くなど、基本的な生活習慣を守ることで調整を行い、様子を見ていきます。また、毎日の生活や夜尿の有無などを記録する日誌をつけます」(吉田先生 以下同)
これらの行動療法で改善しない場合、薬物療法と夜尿アラームを使ったトレーニングを開始するそうだ。
「薬物治療では、尿を濃くして尿を減らす作用のある抗利尿ホルモン薬などを処方します。副作用で水中毒などを起こす可能性があると添付文書には記載されていますが、、生活指導としての水分制限を守っている限り、副作用が出ることはなく、安全性の高い薬といえます」
夜尿アラームとはどういうもの?
「夜尿アラームは寝ている間にした尿を感知するとアラームが鳴り、排尿を抑制するトレーニングです。アラームは市販されているものを購入し、寝る前に装着してから就寝。アラーム音で本人が起きない場合は、保護者が起こす必要があります。夜尿アラームの価格は1万円程度ですので、レンタルがあれば、それを利用するのもオススメです」
●夜尿症の治療は、「起こさず」「怒らず」「焦らず」がカギ
夜尿症の一般的な治療期間は1年間。意外と長期戦だが、子どものモチベーションを保つにはどうしたらいい?
「行動療法の一環で、生活のリズムやその日の夜尿の状態を書いてもらう日誌があります。日誌は本人が夜尿の状態を理解するため、自分で記入します。この時、朝起きて夜尿をしていなかった日は、ごほうびとして好きなシールを貼ってもらっています」
ここで勘違いされやすいのが、シールを成功した日ではなく、失敗した日に貼ってしまうこと。うまくいったときの達成感を感じてもらうことが大切で、成功体験を重ねながら子どもの「がんばろう」という気持ちをキープするそうだ。
では夜尿症の治療を始めた時に母親が気を付けるべきこととは?
「『起こさず、怒らず、焦らず』が夜尿症の3原則です。体の問題ですから、夜尿をした時に子どもを怒っても、どうにかなるものではありません。また体の発達を阻害したり症状の悪化にもつながったりするため、夜中にトイレに行かせるために寝ている子どもを起こすことはしないでください」
夜尿は長い期間をかけて改善していく。焦らずゆっくり親子で向き合っていこう!
(ノオト+石水典子)