「卵巣がんの予防法」はご存知ですか?症状についても解説!【医師監修】

「卵巣がんの予防法」はご存知ですか?症状についても解説!【医師監修】

卵巣がんは女性にとってつらい選択を迫られる病気です。治療を行っても妊娠が望めなくなり、苦しむ患者さんも少なくありません。

このような問題に直面したくないと思うのは当然の気持ちです。そのためには卵巣がんを予防し、発症した際の早期発見が重要です。

この記事では、卵巣がんの予防する具体的な対策を紹介します。早期発見するために意識しておきたい症状もまとめているので、参考にしてみてください。

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監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

卵巣がんとは?

卵巣に発生する悪性腫瘍が卵巣がんです。
卵巣は子宮の両脇にある親指大程の楕円形をした臓器で、女性ホルモンのエストロゲン・プロゲステロンを分泌します。エストロゲンは月経のたびに放出される女性にとって大切なホルモンですが、過剰に作用すると卵巣がん・乳がんを含む婦人科系の疾患を引き起こします。
卵巣腫瘍は大きく上皮性腫瘍・性索間質性腫瘍・胚細胞腫瘍に分けられ、卵巣がんは90%以上が上皮性腫瘍です。閉経後の45歳〜65歳頃に発症しやすく、2019年には約130,000人の患者さんが卵巣がんと診断されました。
治療では初めに手術を行い、進行度に応じて放射線治療・薬物療法が検討されます。

卵巣がんの予防法

卵巣がんを予防するためには、患者さんがご自身の身体の状態を知ることが重要です。予防に役立つ2つの方法を紹介します。

婦人科で検診を受ける

卵巣がんは発症過程が不明な点が多く、明確な予防法がないのが現状です。とはいえ、がんの予防・早期発見で特に大切なのはがん検診です。
ただし、卵巣がんを指針とする検診はなく検診しても簡単にはみつからないため、各自で早めに医療機関を受診する必要があります。
なお、卵巣がんの検診にはエコー検査・腫瘍マーカー検査などが挙げられます。1〜2年に1回の子宮頸がん検診の際に合わせて、エコー検査も受けておくとよいでしょう。ご希望の方は、腫瘍マーカーの測定も受けられます。
残念ながら、卵巣がんの検診が早期発見・早期治療につながるという明確なエビデンスはありません。とはいえ、身体の状態を正しく把握し健康への意識を高めるためにも、定期的に検診を受けることをおすすめします。

遺伝カウンセリングを受ける

卵巣がん患者さんの約10%は遺伝的要因が関係しているとみられており、特にBRCA1遺伝子・BRCA2遺伝子の変異があると発症リスクが高まります。そのため遺伝カウンセリングを受け、自身の遺伝子情報を前もって知ることも予防に有効です。
遺伝カウンセリングは日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が認定する、臨床遺伝専門医か認定遺伝カウンセラーが行います。
遺伝子診療部・臨床遺伝科などの部門がある大学病院や高度医療施設を受診してください。

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